本作は、江戸切子作家である但野英芳が手がけた高杯です。
但野英芳は、但野硝子加工所の二代目であり、従来の江戸切子で多く見られる直線的・幾何学的な文様に加えて、やわらかな曲線や彫りの強弱でつくりだされた動植物や風景などのモチーフが特徴的です。
伝統的な江戸切子の文様に、新たなガラスカットの技法、2つの色を組み合わせた配色、削る深さの変化によってグラデーションや立体感を表現するなど独自の作風を加えた作品は高く評価されています。
本作においては、大きくカーブを描くカットは、飲み口から内部を覗くと、底に向かって渦を巻くような視覚効果が生じています。
さらに、青地の部分に浅く施された曲線や、マット仕上げによる立体的な波の模様から、水の流れや海を想起させるデザインとなっています。
お品物の状態、作家および意匠性を踏まえたうえで、こちらの評価となりました。