こんにちは。京都緑和堂です。
今回ご紹介させていただきますお品物は、お客様の祖父が書道をこよなく愛していた方のようで、書道具のコレクションがたくさんあるとお電話いただき、お伺いしました。
今回、ご紹介するのは中国の文房四宝でもある筆、墨、硯、紙の中の一つである硯 長方銘硯 妙品 『夔龍廻紋硯』をご紹介いたします。
硯は今までたくさん拝見させて頂きましたが、ここまで凝った造りの硯はあまり見たことがありません。
この、夔龍廻紋硯という文字の頭にある「夔」という漢字は、中国神話における神、動物、人物、または妖怪のことを表す漢字で神の龍が回っている様を彫刻した硯であることがわかりますし、箱書きには聴雨とありますが、こちらは杉 聴雨(すぎ ちょうう)という人物で、吉田松陰に学び、高杉晋作や伊藤博文とも親交があった有名な方で書家としても大変有名な方です。実際に聴雨が使っていたものかは分かりかねますが、この硯の彫刻も大変美しく、手に取ることで職人の技を肌で感じることが出来るロマンあふれる逸品となっております。