小泉仁左衛門は、1659年から続く南部鉄器製作の家元です。
その歴史は、現岩手県盛岡市を治めていた南部藩主・重直公に召し抱えられた初代仁左衛門が、城下町で南部茶の湯釜を製作したことに始まります。その後、三代目仁左衛門が、扱いやすい把手(はしゅ:持ち手)付きの釜を考案し、これが現在の南部鉄瓶の起源とされています。
小泉仁左衛門の作品は、独特のデザインと実用性が特徴です。
球体や平らに近い楕円形の形状、また凝った意匠の持ち手を備えた作品が、世間から高い評価を得ています。
今回ご紹介する鉄瓶は、注ぎ口の下に「仁左衛門」の印が刻まれており、水を注ぐ口部分が直線的に上へ伸びた形状の「十王口(じゅうおうぐち)」を採用しています。
オーソドックスな霰文の模様と伝統的な把手が調和した一品で、共箱には書付が施されています。経年による若干の錆が見られるものの、その美しい仕上がりからこちらの評価とさせていただきました。