今回ご紹介するお品物は、立花大亀作茶杓『一滴』です。
立花大亀は、京都・大徳寺塔頭の徳禅寺住職を務めた後、再興された如意庵の庵主として禅の教えを広く伝えた臨済宗大徳寺派の僧です。
禅僧としての活動に加え、茶人・書家としても高い評価を受け、禅の精神が息づく書は、茶席を彩る墨蹟として多くの茶人に親しまれています。その飾らない力強い筆致と深い精神性は、多くの人々を魅了し、現在でも茶道具の世界で高い人気を誇ります。
その見識から池田勇人や福田赳夫、松下幸之助をはじめとする多くの政財界人との交流を持ち、禅の教えを通じて人生観や物事の考え方を伝えました。禅の精神を現代社会へ伝えた名僧の一人として今なお高く評価されています。
本品は、茶道で用いられる茶杓です。
露先は力強さを思わせる「兜巾形(ときん)」に削られており、凛とした風格が感じられます。
また、節下にかけては胡麻竹特有の模様が現れ、竹本来の趣が一層引き立てられています。
一方、節裏には表の力強い印象とは対照的に、ハートを思わせる愛らしい形が見られ、自然が生み出した造形美を楽しむことができます。
大亀和尚が竹を見極め、その魅力を最大限に生かして製作されたことがうかがえます。
こちらのお品物は、共箱などの付属品も完備しており、作家の知名度が高いことから、上記の評価となりました。