今回ご紹介させていただくお品物は、アール・ヌーヴォーを代表するガラス工房であるドーム・ナンシーの『柿文ランプ』でございます。
ドーム・ナンシーはフランスのナンシー近郊から始まった工房で、オーギュストとアントナンのドーム兄弟が芸術性の高いテーブルウェアを製作し始めたことから人気が広がり、アール・ヌーヴォーの代表ブランドにまで成長しました。植物や昆虫、美しい四季の風景といった自然に由来するものを主なモチーフとしており、それらをあしらった花瓶やランプを数多く残しています。
今回お譲りいただいた柿文ランプは、名前の通りモチーフが『柿』であり、秋の情景を連想させる、どこか哀愁を帯びた温かみのある佇まいが魅力です。また、灯りを消している時は、渋みのあるオレンジや茶、緑のグラデーションが美しい重厚なガラス彫刻として空間を引き締め、内部の電球を点灯すると、ガラスの厚みの違いによって光の透過が変わり、柿の実がまるで本物の果実のように内側からほのかに赤く輝き、幻想的な影が周囲に広がります。
評価と致しましては、経年による細かなスレや汚れ等はございますが、ヒビや割れなど外観を損なうような欠陥はなく、良好な状態のアンティーク品でございましたので、上記の評価額とさせていただきました。