長嶋成織物は、京都・西陣の名門織元で、高級帯「ながしま帯」を製造しています。1948年に長嶋成介氏が創業し、戦前は組紐制作を生業としていました。
長嶋成織物は、川島織物や服部織物と並ぶ日本三大織元の一つとされ、その品質と技術は高く評価されています。
1975年には、漆芸の蒔絵技法を応用した独自の「瀞金(どろきん)」技法を開発し、翌年には引箔に「瀞金箔」を使用するなど、伝統と革新を融合させた帯作りを続けています。
工房には2万5千色以上の絹糸が用意されており、細やかな色味を表現します。 また、由水十久などの著名な着物作家とも協力し、数々の名品を生み出しています。
現在も、伝統的な技法を守りつつ、新しい技術やデザインを取り入れ、高品質な帯を提供し続けています。
創業470年を迎える京友禅の老舗ブランド「千總」
着物、スカーフ、バッグ、ジュエリーなど多数の作品を手掛け、国内外のアーティストやファッションブランドともコラボしています。
千總の歴史は、西村貞喜が1555年に法衣業を創始したことが始まりです。
江戸中期頃から友禅染を手掛けるようになり、明治時代には、日本画家に染織品の下絵を依頼するなど新たな様式を確立しました。
第二次世界大戦時、戦争に直接貢献しない高級織物・装飾品などの製造や販売をすべて禁じる令が出されましたが、職人の技術と生活を守る為、研究所を設立しました。政府から「技術保存資格者」として製造販売を許可されると、少ない物資の中でものづくりを続けました。
千總では創業から今日に至るまで、数百年に渡って形を変えながら技術や歴史が繋がれてきました。今も代々の教えである「伝統とは守ることではなく創ること」を大切に、美を追求し続けています。
千地 泰弘は、世界的に活躍する友禅作家です。
「着物は平面で描き、立体で考える」という独自の考えを大切にしています。
泰弘は、日本人で初めてインドで仏壁画を描いた画家「千地琇也」の長男として1947年、鎌倉市に生まれました。
22歳の頃、西本願寺(ロサンゼルス)の壁画を父親と3年がかりで制作。
帰国後、アルバイトをきっかけに京友禅に魅せられ、友禅作家としての道を歩み始めます。オペラや歌舞伎の衣装制作など幅広く活動した彼は、その技術とセンスを高く評価され、世界的に知られていくことになります。
1992年には、スペインの貴族である「アルバ公爵家」の夫人専属デザイナーに就任しました。夫人の死後、約30年前に千地が贈った着物が大切に飾られていた事がテレビで取り上げられ、話題となりました。
また、作家活動50周年を記念したイベントが開催された際には、多くのファンが集い、彼の功績を称えました。
彼の夢は「着物を最先端のお洒落として世界に広めること」だそうで、大胆で美しい作品は、今も多くの人を魅了しています。
和田 光正は、金彩友禅の作家として知られています。
彼は「伝統工芸士」に認定され、更には「京の名工」「現代の名工」として表彰されました。
金彩友禅とは、金銀箔や粉などを使用して友禅を装飾する技法のことで、華やかな彩りが特徴です。
中学校を卒業したばかりだった和田は、叔母に連れられて友禅の彩色仕上げの工房を見学することになりました。
その際、工房での仕事を見た和田は体が熱くなったのを感じ、即座に弟子入りを決心したといいます。
その後、22歳で独立した和田は、金彩技術の改良に取り組みました。
約10年に渡り開発を続けた結果、修業当時は10色ほどしか無かった金彩箔を150色にまで増やし、より良い素材の開発に成功しました。
彼の作品は国内外の展覧会で展示され、その芸術性と金彩に対する熱い想いは高く評価されています。
「新時代の着物作家」 斉藤 三才
染織作家として活躍した斉藤才三郎の長男で、独自の色彩美とデザインで知られています。
伝統的な古典柄にとどまらず、ドットやストライプなどの現代的なデザインを取り入れた「三才調」と呼ばれる独自のスタイルを確立しました。
彼の父親である才三郎は、色の三原色以外に神様が隠している「うまい色」がきっとあるはずと独自の色を追求し、オリジナルの色見本を発表しました。
そんな父親の影響を強く受け、三才は父と同じ東京の呉服問屋に奉公。その後、日本画家・加納三楽輝からデッサンを学び、腕を磨いていきました。
初めは業界から批判の声が多く上がっていましたが、自分を貫き続けた彼は次第に市場で受け入れられるようになり、今の地位を確立していきました。
1982年には国際アカデミー賞を受賞し、現代の着物業界に大きな影響を与えました。
彼の持つ独創的な考えやデザインは多くの著名人や愛好家に支持されています。
草野 一騎は、世界的に活躍する着物作家・デザイナーです。
世界各地で個展やショーを開催しており、メディアからも注目されています。
大胆で独創的なデザインは、「一騎調」としてスタイルが確立されました。
草野の生まれは北海道ですが、生年など詳細については明らかにされていません。立命館大学へ進学後、伝統工芸家の天野木仙から着物の伝統を学びました。独立した彼は、京都の北山を拠点として活動しています。
着物や浴衣、草履、バッグなど幅広い作品を手掛け、数多くの女優・演歌歌手などの衣装も制作しています。
個性的な作品が多いですが、モダンやカジュアルなど様々なスタイルに溶け込むので、組み合わせを楽しむことができるのも魅力的です。
時代の先をゆく草野は、多方面に日本の新しい美を発信し続けています。