珊瑚といえば南洋の海を彩る存在として有名ですが、その色鮮やかさゆえに日本では江戸時代の終わり頃から宝石として珍重されてきました。

一口に珊瑚といっても、沖縄のダイビングスポットでみられるような珊瑚はその材質が宝石向きではなく、美しい宝石珊瑚となるのは、世界中でもごく一部の深海で長年かけて成長するものに限られます。

かつて宝石珊瑚は地中海の深海で産出されるものしかなく、アジアには限られた量しか入ってきませんでした。しかし江戸時代末に土佐(高知県)沖で、良質な宝石珊瑚の生息が確認されました。地中海産のものよりも鮮やかで美しい赤珊瑚は、加工することでさらにその美しさを増し「血赤珊瑚」として海外でも評判になりました。これにより珊瑚工芸は明治以降、高知の重要な産業の一つとなったのです。

工芸で用いられる珊瑚は産出量が非常に少なく、大きな作品はとても珍しいため価格も高額となります。近年は中国でも美術品として人気を得ており、原木価格の高騰もしているようです。ご自宅で眠っている珊瑚工芸品がございましたら、ぜひお気軽にご相談下さいませ。