
ペルシャ絨毯は、世界でも最高峰の絨毯として知られています。
繊細な文様、何十年にもわたって愛用できる耐久性、そして美術品としての価値。
しかし、いざ売るとなると、多くの方が次のような疑問を抱きます。
- うちのペルシャ絨毯はいくらで売れるの?
- 産地や素材でどれくらい価格が変わるの?
- 相場を見るために最低限おさえるべきポイントは?
この記事では、ペルシャ絨毯の中でも特に需要が高い主要産地ごとの相場を中心に、
買取価格の目安や評価ポイントをわかりやすく整理しました。
専門知識がなくても読めるよう、できる限り平易な言葉で解説しています。
目次
ペルシャ絨毯の買取相場について
ペルシャ絨毯の買取価格は、数千円〜数十万円以上と幅が非常に広いのが特徴です。 なぜここまで差があるのかというと、ペルシャ絨毯には価値を左右する要素が多いからです。
- 産地(ブランド性)
- 素材(シルク/ウール)
- 織り(手織り/機械織り、ノット数)
- サイズ(小型~大判)
- 状態(汚れ・日焼け・破れなど)
これらが複合的に影響し、 「同じサイズでも数万円以上の差が生まれる」ケースも珍しくありません。
よくある価格帯の例
- 玄関マット(小サイズ):数千円〜1万円前後
- 2〜3畳サイズ:1万〜数万円
- 6畳以上の大判:数万円〜十数万円
- シルク100%・有名産地:数十万円以上の査定になる例もあり
新品で購入すると数十万〜百万円以上する絨毯でも、
中古市場では「需要」と「状態」によって価格が大きく変わります。
特に中古相場では、産地のブランド力・素材・状態が価格の決定打になります。
主要産地別のペルシャ絨毯の買取相場一覧
ここからは、検索ユーザーが最も知りたい情報である
「どの産地がどれくらいの相場なのか?」をわかりやすくまとめていきます。
産地はペルシャ絨毯の価値を決める最も重要な要素のひとつで、
同じサイズでも「どの地域で織られたか」で数倍の価格差が出ることもあります。
イスファハンの特徴と相場目安
イスファハンは、ペルシャ絨毯の中でも最高峰の産地として知られています。 シルクや上質ウールを使い、織りの細かさやデザイン性に優れ、 “芸術品”としての価値が特に高いのが特徴です。
- 相場目安:数万円〜数十万円以上
- 特徴:非常に細かい織り、上質な素材、工房ブランドの人気
手織り密度(ノット数)が高く、状態が良好であれば、 20万〜50万円以上の査定がつくことも珍しくありません。
クム(コム)の特徴と相場目安
クム(コム)はシルク絨毯で特に有名な産地で、 「光沢の美しさ」「なめらかな手触り」「細かな文様」が魅力です。
- 相場目安:数万円〜数十万円
- 特徴:シルク100%が多い・織りが極めて細かい・人気工房が多い
クム産シルク絨毯は海外市場でも評価が高く、 状態が良ければ高額査定になりやすいグループです。
ナインの特徴と相場目安
ナインは日本でも人気の高い産地で、 淡いブルー(ナインブルー)の落ち着いたデザインが特徴です。
- 相場目安:1万円〜10万円前後(サイズ・状態で大きく変動)
- 特徴:上質ウールが多い・比較的手に届きやすい高級品
ナインは良質なウール絨毯が多く、中サイズなら3万〜7万円ほどが多い価格帯です。 シルク入り・ノット数が多い作品は、10万円以上も狙えます。
タブリーズの特徴と相場目安
タブリーズは歴史ある産地で、技術力の高い織り手が多いことで知られています。 デザインや織り密度のバリエーションが非常に幅広く、品質によって価格差が大きくなるのが特徴です。
- 機械織り・タブリーズ風:数千円〜
- 一般的な手織りタブリーズ:数万円〜十万円台
- 高品質・高密度の手織り:十万円以上〜
本格的な手織りタブリーズは高く評価されますが、品質によって価値が大きく変動します。
市場には量産のタブリーズ風絨毯も多く流通しているため、査定時には「本物かどうか」の確認が必須です。
カシャーンの特徴と相場目安
カシャーンは、深い赤色の“カシャーンレッド”を基調にした、 格調高いデザインで知られています。
- 相場目安:数千円〜数万円、上質な手織りは10万円前後も
- 特徴:伝統的なデザイン・シルク入りも存在
特にシルク混で状態が良いものは、比較的高い査定が期待できる産地です。
ケルマン・シラーズ・ハマダンなどその他の主要産地
ケルマン・シラーズ・ハマダンなども伝統ある産地ですが、 現代市場では「状態によって価格が上下しやすい」グループです。
- 相場目安:数千円〜数万円
- 特徴:ウール素材が主流・地域色の強いデザイン
特にシラーズやハマダンは素朴なデザインのものが多く、コレクションとして評価されることもあります。 ただし、状態が良くないと価格は伸びにくい傾向があります。
買取相場を左右する5つの要素(全体の仕組みを理解)
ペルシャ絨毯の相場は「産地・素材・織り・サイズ・状態」の5つで大きく変わります。
主要産地別の相場を確認したあとに、
なぜその産地が高いのか/どうして同じサイズでも価格が違うのか、といった背景を理解することで、
より精度の高い判断ができるようになります。
1. 産地(ブランド性・工房の影響)
ペルシャ絨毯では、産地のブランド性がもっとも価格に影響します。
たとえばイスファハン・クム・ナインなどは世界的に評価が高く、職人や工房ごとに“作品の価値”が決まるほどブランドが確立されています。
一方、ケルマン・ハマダンなどは人気や市場流通量で差が出るため、 同じサイズでも査定額が大きく変わります。
2. 素材(シルク・ウール・コットン)
素材は価格を決める重要なポイントです。
- シルク:光沢・質感・希少性が高く、買取相場が最も高い
- ウール:普及しており価格は中間〜やや低め
- コットン:ベース素材として使われるが、加点要素にはなりにくい
同じ産地でも、シルク100%とウール主体では、 価格が数倍変わることもあります。
3. 手織りか機械織りか(ノット数の違い)
ペルシャ絨毯の査定では、手織りかどうかとノット数(結び目の密度)が非常に重視されます。
- 手織り → 高額になりやすい
- 機械織り → 相場は低め/安いケースが多い
ノット数が高いほど職人の技術力が必要で、精緻な文様が作り込まれているため、 高額査定につながる傾向があります。
4. サイズ(大判ほど価格が上がるとは限らない)
一般には「大きい絨毯ほど高い」と思われがちですが、実際は需要のあるサイズかどうかが最重要です。
- 玄関マット:需要が高く売れやすい
- 2〜3畳サイズ:実用性が高く相場も安定
- 6畳以上の大判:一般家庭での需要が少なく価格が下がることも
ただし、シルク大判のハイクラス工房作品(名工房サイン入り・高密度作品)は例外で、 市場でも高額を維持しやすい傾向があります。
つまりサイズは大きければ良いのではなく、 需要 × 品質 × 産地のバランスで決まります。
5. 年代・保存状態(状態がすべてを決める)
買取相場で最も差が出るのが「状態」です。
- シミ・汚れ
- 日焼け
- カビ・ニオイ
- パイルの抜け
- 破れ・穴あき
- ペット臭・生活臭
これらが1つでもあると、状態の良い同等品と比べて 数十%単位で査定額が下がることもあります。
シルク・ウールの素材別価格イメージ
素材による相場の違いはユーザーが最も理解しやすい部分で、
「どうしてこんなに値段が違うの?」という疑問にも直結します。
ここでは代表的なシルク素材・ウール素材の特徴と価格傾向を整理します。
シルク素材の特徴と買取価格の傾向
シルク絨毯は、ペルシャ絨毯の中で最も高級ラインに分類されます。
光の当たり方で美しい光沢が生まれ、滑らかな質感が魅力です。
- 相場:数万円〜数十万円以上
- クム産は特に高額が期待できる
- ノット数が細かいほど評価が高い
シルクは劣化しにくい素材でもあるため、状態が良ければ 中古市場でも高額査定になりやすい傾向があります。
ウール素材の特徴と買取価格の傾向
ウールは最も一般的な素材で、耐久性が高く普段使いしやすい絨毯です。
ナインやカシャーンに多く見られます。
- 相場:数千円〜数万円
- 産地やデザイン性により評価が変動
- 手織り・高密度作品は加点されやすい
ただしウールは湿気や汚れに弱く、 状態による価格差が大きく出やすい素材です。
サイズ別の買取相場の目安
ペルシャ絨毯は、同じ産地・同じ素材であっても「サイズ」によって相場が変わります。
ただし「大きいから高い・小さいから安い」という単純な構図ではありません。
実際には「使いやすいサイズかどうか」が相場に大きく影響しています。
ここでは、利用者の多い代表的なサイズごとに、実際の取引で見られる傾向を紹介します。
玄関マットサイズ(小型)
玄関マットサイズの小さな絨毯は、住宅事情や使い勝手の良さから、中古市場でも人気があります。
シルク素材であれば手触りの良さと光沢が際立ち、小型でも存在感のある作品が揃います。
状態が良く、織りが細かいものであれば「小さいから安い」ということはなく、 むしろ“使いやすいサイズゆえに安定して売れる”傾向があります。
ウール素材のものは、普段使いによる汚れや摩耗が査定額に影響しやすいですが、
それでも千円台〜数千円、条件が良ければ一万円前後になるケースもあります。
シルク製の小型絨毯であれば、数万円台の査定も珍しくありません。
2〜3畳サイズ(中型)
もっとも実用的で需要が高いのが、2〜3畳ほどの中型サイズです。 リビングや応接室、ベッドサイドなどに敷きやすく、中古市場でも「探している人が多いサイズ」と言われます。
産地や素材によって差はありますが、
ウールの中型サイズなら数万円前後がもっともよく見られる価格帯です。
シルク混・シルク100%になると、織りの細かさや状態の良さがそのまま価格に反映され、 十万円前後の査定がつくこともあります。
特にイスファハンやクムなどは、このサイズ帯で高値が期待できます。
6畳以上の大判サイズ(大型)
6畳以上の大判サイズになると、価格の幅はさらに広がります。 原材料が増えるため本来は高額になりやすいのですが、実際には「需要が限られる」という問題があります。
とくにマンション住まいの利用者が増えた現在では、 大判絨毯は「欲しくても置く場所がない」という事情から、良い産地でも相場が落ち着くことがあります。
それでも、シルクや高密度の手織り品で状態が良ければ、 十数万円以上の査定につながるケースもあります。
大判は「素材」と「産地」が価格の決定打になりやすいと言えます。
本物のペルシャ絨毯と“ペルシャ風ラグ”の違い
査定の現場では、「本物のペルシャ絨毯」ではなく、 “ペルシャ風ラグ”や“機械織りの模倣品”が持ち込まれることも多くあります。 見た目が似ているため判断がつきにくいのですが、買取価格はまったくと言っていいほど違います。
ここでは、一般の方でもわかる範囲で、両者の違いを確認しておきましょう。
手織りの見分け方(裏面・ノット・模様の細かさ)
本物のペルシャ絨毯を見分ける際、もっともわかりやすいのは裏面です。 裏側の模様が表側とほぼ同じように見える場合、それは職人がひと目ひと目ノットを結んで織り上げた証拠です。
手織りは結び目の密度が高く、裏面に凹凸があり、輪郭線や模様が細部まできれいに浮かび上がります。 一方、機械織りは裏面の模様がぼんやりしていたり、直線部分が不自然に揃いすぎていることがあります。
手織りかどうかは、査定額に直結する極めて重要なポイントです。
機械織りとの違いと買取価格が変わる理由
機械織りの絨毯は、一定の規格で大量生産されるため、 デザインの精緻さや素材のグレードは、手織りとは大きく異なります。 耐久性や素材の質も、手織りのペルシャ絨毯と比べれば、 「似ているようで別物」といえるほど差があります。
そのため買取価格は数百円〜数千円に留まることも多く、 美術品として評価されることはほとんどありません。
ペルシャ風ラグが安い・値段がつかない理由
ホームセンターや量販店で販売されている“ペルシャ風”のラグは、
ペルシャ絨毯のデザインを模した商品であり、本物とは製造方法も素材も異なります。
見た目が華やかでも、工芸品としての価値や希少性はなく、
中古市場では「一般的なラグ」と同じ扱いになるため、
値段がつかない、あるいは数百円程度になることもあります。
こうした「本物かどうか」の判断はユーザー自身では難しいことも多いため、
産地や保管状態が不明な場合は、一度査定に出して確認するのがおすすめです。
状態が価格に与える影響
ペルシャ絨毯の査定で、もっとも価格に影響するのは「状態」です。
素材や産地が優れていても、ダメージが大きいと本来の価値が損なわれてしまいます。
ここでは、減額されやすい状態と、その改善策をまとめて紹介します。
減額されやすい状態
中古市場では、日常生活でついた汚れやダメージが査定額を左右します。
シミや広範囲の汚れはもちろん、長期間日光に当てられたことで生じる色焼けも価値を下げる原因になります。
また、湿気の多い場所で保管していた場合はカビやニオイが発生しやすく、
ペットの粗相や生活臭が染み込んだ絨毯も評価が下がる傾向があります。
さらに、パイル(毛足)の抜けやフチのほつれ、穴あきなどの物理的なダメージは、
修復が難しい場合も多く、致命的な減額要因となります。
査定前にできる小さな準備
ただし査定に出す前に少し手を加えるだけで、印象が大きく変わる場合があります。
例えば、軽く表面のホコリを払い、風通しの良い場所で陰干しするだけでも、
湿気やわずかなニオイが和らぎ、本来の色合いがはっきりします。
掃除機を使う際は、強い吸引力で繊維を傷めないよう、 表面をなでる程度に軽くかけるのがポイントです。 無理にシミを落とそうと強い洗剤を使うと、かえって繊維を傷める原因になります。
自己判断での過度なクリーニングは避けたほうが安全です。
クリーニングをしたほうがいいケース/しないほうがいいケース
シルク絨毯や高級品の場合、専門店によるクリーニングを検討したほうが良いケースもあります。
特に大判のシルク絨毯は湿気を含みやすく、定期的なメンテナンスで価値を維持しやすくなります。
一方、数千円〜数万円の査定が想定されるウール絨毯に高額なクリーニング費用をかけても、
元が取れない場合があります。
「クリーニング費用に見合うだけ価値が上がるか」を基準に判断することが大切です。
高額査定につながりやすいペルシャ絨毯の特徴
ペルシャ絨毯の買取価格は幅が広いものの、 「どんな絨毯が高く評価されやすいか」には、ある程度共通した傾向があります。 ここでは、査定の現場で価値が上がりやすいポイントを整理します。
人気の産地や有名工房で作られた絨毯
イスファハンやクムなど、世界的に評価されている産地の絨毯は、
中古市場でも安定して高値がつきます。
また、名のある工房や著名な織り手による作品は、ひとつひとつが“作品”として扱われるため、
美術品としての価値を保ち続けます。
たとえ使用年数が長くても保存状態が良ければ高額査定につながるケースが多く、 工房名や織り手の情報は、大きなプラス評価になります。
シルク素材や、密度の高い手織りの絨毯
素材がシルクの場合、光沢や繊細な質感が中古品でも失われにくく、
時間が経っても価値が落ちにくい特徴があります。
さらにノット数が多い絨毯は織りの手間がかかっており、
細かい文様がはっきりと表現されているため、手織りであることが確認できれば査定額が大きく伸びることがあります。
シルクで、なおかつ密度の高い織りの絨毯は、産地に関係なく「質の高い作品」として評価されやすい傾向があります。
付属品や購入記録が残っている絨毯
購入時の証明書や産地を示すタグ、当時の購入価格がわかる資料などが残っていると、
絨毯の情報が裏付けられるため、査定がスムーズになります。
特に高級産地のシルク絨毯の場合、証明書の有無が価値判断を左右することもあります。
証明書がなくても査定は可能ですが、「どこで・どのように購入したか」が分かるだけでも評価につながることがあります。
家のどこかに購入時の資料が残っていないか、一度探してみる価値は十分あります。
まとめ 主要産地と状態を押さえれば相場がつかめる
ペルシャ絨毯の買取相場は、産地・素材・手織りかどうか、そして絨毯の状態といった複数の要素で大きく変わります。
特にイスファハン・クム・ナインなどの名産地は評価が高く、
素材がシルクの場合は中古市場でも価値が残りやすくなります。
一方で、どれほど価値のある絨毯でも、シミや破れ、日焼けなどがあると査定額が下がってしまうため、 日頃からの保管環境やお手入れも重要なポイントです。
相場を決めるポイントを知っておけば、 「売るなら今がいいのか」「どれくらいの価格が妥当なのか」といった判断がしやすくなります。
大切な絨毯の価値をしっかり確かめたいときは、気軽に査定だけでも受けてみると、より具体的な相場が見えてきます。














