こんにちは。緑和堂大阪支店です。
今回ご紹介するお品物は蓋に龍文堂と刻印されている鉄瓶です。
箱などの付属品は無く蓋には軽い凹みと鉄瓶本体全体に錆はありますが、深い凹みや割れは無く底に穴なども開いてない状態でした。
今回の鉄瓶は最も一般的でポピュラーな丸形の鉄瓶では無く鉄瓶本体の蓋を囲む上部の部分がこんもりと盛り上がり蓋を包み込むようなどこか母性を感じさせる形をしており取っ手の部分も山形食パンを連想させる様な柔らかい形をしたとても良い鉄瓶です。
鉄瓶自体のデザインに加えて龍文堂と刻印の入った蓋付という点も今回のポイントになりました。
龍文堂とは江戸時代に現在の京都で「四方龍文」が蝋型鋳造によってはじめて鉄瓶を造った事から「龍文堂」が始まったとされています。
実際に龍文堂という名を名乗り始めたのは「2代目龍文堂」と言われる「四方安之助」の頃からとされています。
四方安之助は「秦蔵六」や「亀文堂」の創始者である亀文堂正平等を弟子として蝋型鋳造の発展に高く貢献いたしました。
龍文堂の鉄瓶はとても人気が高く贋作も数多く世の中に出回っています。
「この様な時には龍文堂の松風の音を聞いて茶を喫するが最高の贅沢」という文が夏目漱石の代表作の一つ「吾輩は猫である」の文中に登場する程です。