本作は六代中村宗哲作 『尻張棗』裏千家十一代家元玄々斎宗室在判 十五代家元鵬雲斎宗室書付、九代中村宗哲書付のお品物です。
千家十職の塗師(ぬりし)である中村宗哲、その中でも六代宗哲(1792年〜1839年)は独自の経歴を持つ漆芸家です。五代の長男として京都に生まれ、名は為一、通称は八兵衛(後に八郎兵衛)、号を楪斎と称しました。
六代宗哲は表千家十代・認得斎の好み物を数多く手がけており、代表作には認得斎好の「祇園攘疫棗」「群亀棗」「宝船棗」「凡鳥棗」「夜桜棗」などが挙げられます。棗のほかに手桶や煙草盆など、多岐にわたる漆芸のお品物を残しました。伝統を踏襲しながらも洗練された美意識が息づくその作風は、茶方から深く重用されています。
本作は六代宗哲が手掛け、それに裏千家十一代家元玄々斎宗室の花押が押されています。そしてこの棗を裏千家十五代家元鵬雲斎宗室と九代中村宗哲が極めをした識箱がついています。詫び寂びを体現した逸品と言えるでしょう。
お品物の状態、2人の家元の花押と書付、作家の人気度などを考慮し、上記評価となりました。