今回ご紹介いたしますお品物は鵬雲斎の茶掛『松寿千年翠』でございます。
鵬雲斎(ほううんさい)は茶道裏千家第15代家元・千玄室氏(本名:千政興)の斎号です。「一碗からピースフルネスを」の理念のもと、世界各国で茶道の普及や国際交流、世界平和を唱える活動を活発に行いました。のちに茶道界初の文化勲章を受章し、伝統文化の発展に寄与しました。
「松寿千年翠(しょうじゅせんねんのみどり)」は、初釜などのおめでたい席での掛軸として非常に好まれる吉事の言葉です。松の木が千年の長きにわたり青々とした緑を保ち続ける姿から、「不変の生命力」や「長寿」を意味します。また、続く言葉が「不入時人意」であることから、常に変わらぬ姿勢で日々を積み重ねることの尊さを説いています。
本作は鵬雲斎らしい黒々とした墨が美しい、力強く伸びやかな筆致の一作でございますが、合わせ箱である点や状態等を考慮し、こちらの評価とさせていただきました。