河野道一(こうの みちひと)は日本・山梨県を代表する水晶彫刻(甲州水晶貴石細工)の作家です。水晶彫刻に従事し、伝統工芸士や一級宝石研磨士としての技術を持つ現代の名工であり、黄綬褒章を受章しています。
彼は「石がなりたがっている姿に加工する」ことをひとつの基本理念としています。原石の中にある自然の模様、インクルージョン(石の中の内包物)、色・質感をよく観察し、それが示す造形を尊重するというスタンスです。
「運竜」は、甲州水晶の透明感と精緻な彫刻技術を活かし、龍の姿を表現した作品で、河野氏の代表作の一つとして知られています。
原石の“景色”を活かしながらも、緻密な細工で力強さや気韻を表現し、運竜という題名からも雲を呼び運気をもたらすイメージを託した作品です。
水晶貴石細工という伝統工芸の枠組みの中で高い評価を得ている点と状態の良さを考慮してこちらの評価額となりました。