今回紹介する作品は、藤本能道が手掛けた陶板画『芙蓉と鶉図』です。
藤本能道は、色絵磁器の人間国宝である陶芸家で、日本陶芸の伝統のなかで独自の色絵技法を追求し、20世紀後半の日本陶磁界で高い評価を受けた作家です。「鳥」を題材とした作品を多く制作しており、写実的な色絵表現として仕上げる独自の技法を確立しました。
本作では、芙蓉(ふよう)の花と鶉(うずら)が描かれており、濃い紅色に咲く芙蓉から初秋を感じさせる作品です。鶉が芙蓉を見上げていて、画面には余白を大きく取りシンプルな構図ながらも、二羽の穏やかな佇まいと静かな視線が、落ち着いた気配と緊張感をもたらしています。
重要無形文化財保持者による作品であることに加えて、状態も比較的良好であったことから、上記の査定結果となりました。