服部時計店は、時計事業で著名なセイコー(SEIKO)の前身となる企業です。
創業は1881年で、当時21歳だった服部金太郎が輸入時計・宝飾品の販売店として銀座に立ち上げました。服部時計店は取引先の、特に外国商館から高い評判を得たこともあり、すぐに目覚ましい躍進を遂げます。
1892年には国産クロックの製造販売を開始。まもなくして銀座四丁目の表通りに移転し、現在まで続く銀座の象徴「時計塔」が建てられました。その後1920年代に一度改築され、現在の銀座で見られるものは二代目の時計塔となります。
現在のセイコーのイメージからすれば意外かもしれませんが、服部時計店は時計や宝飾品の他、多く銀製品も手掛けておりました。銀瓶や盃にはじまり、花瓶、香炉、純銀像など仔細は尽きませんが、服部時計店の製品ジャンルとして大きな位置におりました。
製品には「服部製」の文字が彫られており、判別のしやすいものが多いです。お手持ちの銀製品に「服部製」の文字がありましたら、それは服部時計店製のものの可能性が高いでしょう。
関武比古は、三代続く銀細工師です。
初代・関武比古は1908年の千葉県勝浦に生まれ、上京を機に打物の名匠である田島勝之師に師事し、銀細工を修行しました。その後、さらに香坂宗廣師のもとで技術を磨き、28歳で独立しました。数年後には太平洋戦争に動員されますが、1948年から再び活発な制作を開始しました。
二代・関武比古は、初代の長男として1936年に生まれました。中学生の頃から父のもとで技術の研鑽に励み、1963年には父と共に「関工芸株式会社」を設立します。現在は三代・武比古監修の下、貴金属美術の伝統工芸品を製作を行っております。
「貴金属美術工芸品を、ひろく人々に」を標語として、伝統工芸の技法に、新しい技術をとり入れて制作されたいくつもの作品は、長らく人々から親しまれています。
城康夫は、京都出身の油彩画家です。
国画会が運営する日本最大規模の公募展・国展において幾度も受賞されており、以後も国画会会員として長く活躍されました。
リアリズムに準拠した静物画を得意としており、もっぱら題材にされるのは花や果実、石、陶器などです。そう聞くとシンプルな絵画に思われるかもしれませんが、城康夫の最大の特徴はその題材の活かし方にあります。
絵画の中心となるいくつかの題材が、乗せるように地面に並べられ、それをある視点から写真に収めるような画角で描かれます。まさしく「静物画」と言えるような、作用を起こさない”物自体”の表現が見事な作家さんです。
油彩画の製作が主な方であり、また同時に古典技法であるテンペラをはじめ、様々な技法を用いた絵画を近年でも制作するなど、新奇性の高い作家さんでもあります。
お目にかかる機会があれば、作品の持つ静謐さや落ち着きなど、城康夫の表現の世界を是非感じ取っていただきたいです。
モンブランは、1906年から続くドイツを起源とした筆記具メーカーで、有名な万年筆ブランドです。
その歴史は、ドイツ・ハンブルグに住む文房具屋、銀行家、エンジニアの三人が会社を作り、万年筆の製造に着手したことに始まります。1924年にモンブランの代表作となる「マイスターシュテュック」を製作し、一躍その名を世界に轟かせました。
やがてボールペンやサインペンなどの台頭により、万年筆はステイタスシンボルへと立ち位置を変化させますが、モンブランの万年筆はそのデザイン性と品質の高さから高級万年筆としての位置づけを獲得し、人気を確立してゆくこととなります。
モンブランの万年筆の特徴として、ヨーロッパ最高峰の山であるモンブランをモチーフとしていることがあり、ペン先には標高である「4810」と刻まれています。
現在ではリシュモングループの傘下企業となっており、万年筆の他腕時計やフレグランス、革製品など幅を広げた展開を行っております。
小西平内は、兵庫県西宮市に「太閤窯」を構える陶芸家、およびその名跡です。
太閤窯を築いた初代・平内とその甥の二代・平内がおり、世に多く出ているのは二代の作品となります。なのでここでは、主に二代の紹介をさせていただきます。
二代は1928年に愛媛県に生まれ、十代のうちに叔父の初代に師事します。初代のもとで作陶技術を学んだあと、翌年には昭和の光悦と称される川喜田半泥子に師事し、茶陶作りの技術を身に着けていきます。
1964年に叔父の隠居に伴い、二代・小西平内を継ぐことになります。その後は大阪三越での初個展にはじまり、国内外での活躍を見せました。
楽焼・伊賀焼による茶陶を中心に制作し、伝統的な茶陶の精神を大事にされた作品を多く残されています。特に黒樂茶碗、赤樂茶碗は小西平内の精神を体現したような代表作品であり、その実力は茶道裏千家十五代家元である鵬雲斎大宗匠からも高く評価されています。
中村宗悦は、石川県出身の漆芸作家です。
1932年に生まれ、十代の頃には父親から「髹漆(きゅうしつ)」という技法を学びました。以来、宗悦はその技法一筋で作品を製作していきました。
「髹漆」とは、へらや刷毛を使って漆を素地に塗る、漆芸の技術のことを言います。いわゆる塗りの技術であり、漆芸技法ではもっとも古い技術の一つであるとも言われています。単純に塗るだけでは塗った跡が残ってしまうため、跡を残さない高い技術力が必要とされている伝統的な技法です。
髹漆をベースとし、真塗(黒の漆立て)や蒔絵などの技法を用いて製作するのが宗悦の作風となります。
モチーフには草花、鳥、小動物などが多く、古雅で優しさのある表現が特徴的です。棗や盆にはじまり、茶入や香合、棚などと多岐に渡った漆芸作品を製作しております。
また、徳恩寺の中尾宗和に茶道の指導を受けた経緯から茶道の造詣が深く、茶人に愛される茶道具を多く手掛けています。