青鳳(せいほう)としても名が知られている内島市平は、彫金家として今現在でも注目度が高い作家です。
1881年富山県高岡市出身の内島市平は、細川松次郎氏に彫金術を学び日展に何度も入選を果たし、若くしてその名を知られるようになります。1928年には高岡工芸学校教諭として務めていました。更には国会議事堂銅扉装飾金具仕上げに従事したり、ベルギー万国博覧会にて名誉大賞を受賞、晩年は陶器の製作も行うなど、活躍の場を広く展開していました。
主な作品は銀を用いた香炉や置物です。
美しく輝く銀ならではの特性を生かし、高度で繊細な技術によって生み出されるデザインは、先端にまでこだわり抜かれ、圧倒的な表現力を備えているのが特徴です。
デンマークのパイプ作家ハンセン氏から生まれたハンドメイドのパイプブランドです。
1910年デンマークで誕生、1960年代には数多くのハンドメイドパイプを制作します。基本独学で制作されたそのほとんどのパイプには「HANSEN BRIAR」というブランド刻印があり、その存在感を示しています。
特徴は、重厚感が満ちた木彫りの深みある味わいと、視覚的にも楽しむことができるパイプで、数多く展開してきました。
1970年代半ばにパイプ作家として引退している為、現在では比較的入手困難なパイプブランドとなっています。
アルフレッド・シスレーは、風景画で知られる印象派の画家です。
1839年、シスレーはフランス・パリにて裕福な家庭に生まれました。
18歳でロンドンに移りビジネスを学びますが、美術への強い興味から風景画に触れるようになります。
数年後、ビジネスの勉強を辞めることにしたシスレーは、画家を志します。
パリへ戻るとシャルル・グレールのアトリエで学びはじめ、クロード・モネやピエール=オーギュスト・ルノワールらと出会いました。
当時は古典的な絵画が主流で、見たものをそのまま描くという様式は不人気でした。
このような背景から、シスレーの描いた作品がサロンで入選を果たした際も、あまり評価されませんでした。
1870年、普仏戦争の影響で父親が破産し、絵で生計を立てなければならなくなりました。
しかし、シスレーの作品はなかなか売れず、それから生涯にわたり困窮した中で生活することになります。
そして1899年、モレ=シュル=ロワンにて喉頭癌のため亡くなりました。
シスレーの900点近い油彩作品の大部分はパリ周辺の風景を描いたもので、テイストを崩すことなく一貫して風景画を描き続けました。
静かな自然の美しさや穏やかな時の流れを繊細に表現しており、今では高い評価を得ています。
代表作には『モレの教会』『モレ・シュル・ロワン』『積み藁』などがあります。
岡崎雪声は、京都府伏見区で釜師・岡崎貞甫の子として生まれました。本名は庄次郎です。大阪で釜師の修業を積んだ後、21歳で上京し、鋳金家の鈴木政吉に師事しました。
明治22年(1889年)には、その年のパリ万国博覧会に出品した作品が2等賞を受賞し、その名を高めるきっかけとなりました。その後、岡倉覚三(岡倉天心)と知己を得て、明治23年(1890年)に東京美術学校(現・東京藝術大学)の鋳金科教師となり、明治29年(1896年)には教授に昇進しました。
岡崎は、分解鋳造法による大型鋳造を得意とし、銅像や建築装飾などを手がけました。代表作には、上野公園の「西郷隆盛像」や皇居前広場の「楠木正成像」などがあります。また、1903年には鋳金家協会の設立に尽力し、日本の鋳金界の発展に大きく貢献しました。
引間二郎は北海道八雲町出身で、元々は農家として従事していましたが、不慮の交通事故により熊彫師に転向します。
「八雲」とは、熊彫発祥の地とも言われている八雲町からきています。1931年頃から品評会で評価の高かった木彫りの熊に対して目視で分かるよう、足の裏に「八雲」の焼印を入れ販売され始めたところから、「八雲の熊彫」という一種のブランドが確立されました。
熊彫は主に2種類の彫り方があります。かなりデフォルメが効いた柔らかさを感じつつもメリハリのある「荒彫り」と、日本画をモチーフにしたと言われている優雅さある毛の流れを繊細に表現する「毛彫り」です。引間はそのどちらも手掛けており、奥深さも垣間見える野性味あふれる作風が特徴的です。
大木平蔵(おおき へいぞう)は、京都・丸平大木人形店の伝統的な当主が襲名する名跡であり、明和年間から続く老舗京人形司における最高峰の人形作家です。
明和年間(約250年前)に創業され、現在も七代目まで続く伝統の技術と美意識を受け継ぐ京人形の代表的な作家です。
明治23年(1890年)には内国勧業博覧会で受賞、さらにパリ万国博覧会では金賞を受賞するなど高く評価されました。
写実的で緻密な造形が特徴で、伝統的な有職故実に基づく衣装や小道具の細部まで忠実に再現された作品が多く、武士や宮廷を思わせる風格があります。
特に五月人形や武者人形は、甲冑や顔の表情にこだわり、まるで実在の武将のような迫力を醸し出しています。