明珍は平安時代から続くとされる甲冑、武具職人の家系です。江戸時代以降は武具の需要が少なくなっていったことにより、その金工技術を活かして精緻な鉄の細工品を生み出してきました。
甲冑などの武具はもちろん、江戸時代に作られた「自在置物」と言われる金工作品たちが有名です。鷹や伊勢海老、空想の龍を金属で写実的に造形し、さらにその名の通り関節が自在に動く金属細工は当時の武家社会で高い人気を呼びました。
現代でも金工技術を活かして活躍を続けており、特に「明珍火箸」とそれを使った風鈴は日本のみならず世界の音楽家を魅了しています。伝統的な技術を時代に合わせた形で受け継いでいく職人の一族です。
ヨーン・ミッケはデンマーク東部のコペンハーゲン出身のパイプ工芸家でございます。
医者であった父の影響で薬学を専攻しますが、心労の為一時休学します。その気分転換の為に、パイプ作家スィクステン・イヴァルソンの工房でパイプ作りを学び始めました。これを機に若くしてハンドメイド・パイプ作家として活動するようになりました。
天才的な造形力や独創的なデザインから織りなすパイプは、1963年に独立して以降、景気によってアメリカ人や日本人を中心に注目され購入されていきました。生涯かけて制作されたパイプの数が他ブランドと比較してもかなり少ない希少性の観点と、過去の注目度の高さから継続されて今現在でも日米を中心にヨーン・ミッケ製のパイプは根強い人気があります。
2005年、67歳という若さで亡くなりましたが、娘のマレーネ・ミッケが日本の柘製作所でパイプ製作の勉強を始め、2017年にはシカゴのパイプ展示会で作家デビューいたしました。ヨーン・ミッケが生涯かけて造られたパイプへの想いは、娘や愛好家によって語り継がれています。
S.Bang COPENHAGENは、デンマーク・コペンハーゲンにあるパイプ工房です。
創業者であるスヴェント・バングは、1941年にパイプやタバコを扱う商店を開業しました。バング自身はごく少数のパイプしか製作しておらず、主に経営者として工房運営に携わっていたことで知られています。
1968年にタバコ店に併設して「S.Bang COPENHAGEN」の工房を設立しました。
以後、ウルフ・ノルテンスマイヤーとペル・ハンセンの2人のパイプ職人を中心に、年間約500本程度のパイプが製造されました。。
S.Bang社のパイプは、厳選された高品質のブライヤー材を使用し、熟練された職人の手作業によって一本ずつ製作されています。その品質と仕上がりの美しさから、世界的に高い評価を受けています。
1984年にスヴェント・バングが引退し、工房はノルテンスマイヤーとハンセンに引き継がれました。これに伴い、パイプのシャフト部分にある社名の刻印は、英語表記の「S.BANG COPENHAGEN」から、デンマーク語表記の「S.BANG KOBENHAVN」の変更されたことで知られています。
また、S.Bangのパイプには製作者を示す刻印が残されています。ノルテンスマイヤー製は「UN」、ハンセン製は「PH」のモノグラム刻印が確認できます。
1970年頃からヨーロッパ向けのパイプには、グレードの刻印が施されるようになりました。
グレードは一般的にBlack blast→Tan blast→5→6→7→8→9→A→B→C→Dの順で設定されており、最上位の「D」グレードは極めて希少とされています。
さらに1990年頃からは、アメリカ輸出向けのパイプには年号2桁とシリアル2桁の4桁のコードが刻まれるようになりました。これらは全て高品質な輸出向けモデルであったため、従来のグレードの刻印は施されていません。
シリアル2桁はその年の何番目に作られたかを表します。例えば、「PH」と「9532」の刻印がある場合は、「ペル・ハンセンが1995年の32番目に製作したパイプ」であることを表しています。
このように、丁寧な手作業で作られたS.Bangの一点物のパイプは、世界中の愛好家から高い支持を集めています。
山本広巳は、三重県四日市市に伝わる伝統工芸 萬古焼 を、実用工芸の枠を超えた芸術作品へと昇華させた現代陶芸家の一人です。
萬古焼の代名詞ともいえる「紫泥」の魅力を極限まで追求した作品は、一切の過度な装飾を排した端正な造形でありながら、金属器を思わせるような硬質感と、手仕事ならではの柔らかな曲線美を兼ね備えています。
特筆すべきは、その圧倒的な肌合いの美しさです。厳選された良質な土を長い時間をかけて練り上げ、焼成後も丹念に磨き込むことで、シルクのように滑らかで吸い付くような独特の質感を実現しています。使い込むほどに艶が深まり、経年変化を楽しめる点も高く評価されています。
また、茶器、特に急須制作においては、注ぎ口の水切れや蓋の精密な密閉性など、実用面でも極めて完成度が高く、煎茶愛好家や海外コレクターからも高い人気を誇ります。
伝統的な萬古焼の技術を継承しながら、現代的な洗練を纏わせた山本広巳の作品は、日本の手仕事文化の美意識を体現した逸品として高い評価を受けています。
イヴァルソンは、デンマークのパイプ作家シクステン・イヴァルソン(Sixten Ivarsson)を創始者とする工房系ブランド【AN IVARSSON PRODUCT】として知られています。
シクステン・イヴァルソンは20世紀中盤において、従来の定型的な工業製パイプとは異なる「フリーハンド(自由造形)」スタイルの開祖ともいえる存在で、いわゆる“デンマーク・パイプ”の基礎を築いた人物です。
特徴は、ブロック材(特にブライヤー)の木目を最大限に活かした機能性と芸術性を融合した独創的なデザインにあります。手作業によって生まれる一点ごとに異なる彫刻的な作品性を持つ点が評価されています。
また、その技術と美学は息子のラルス・イヴァルソンをはじめとする後継世代にも継承されました。イヴァルソンのパイプは現代においてもハイエンド・コレクターズアイテムとして扱われ中古市場でも作家性の強いハンドメイドパイプとして高い評価を維持しています。
鄭道昭(てい どうしょう)は、中国南北朝時代に活躍した北魏を代表する書家・詩人です。名門の出身で、光州の刺史などの要職を歴任しました。
鄭道昭が現在の中国山東省の岩山に残した摩崖刻石は「鄭道昭刻石」などと総称されています。同時代に見る北魏の六朝楷書独特の角ばって固い筆づかいの「方筆」ではなく、南朝寄りの角が丸く柔らかい印象の「円筆」の書が特徴とされ、鋭い角を持つ一般的な北魏楷書とは異なり、ゆったりとした風格と気品を兼ね備えています。
清代の包世臣や康有為らによって再評価され、明治以降の日本の書道界にも大きな影響を与えました。