建窯(けんよう)は、中国福建省南平市建陽区水吉鎮付近にあった宋代の名窯です。
特に黒釉の茶盞「建盞」の生産で知られ、兎毫盞、油滴盞、曜変盞など、多彩な釉薬効果を持つ作品が生み出されました。これらは日本に伝わった際に「天目茶碗」と呼ばれ、珍重されました。
宋代には、皇室や貴族の間で「闘茶」という茶の品質を競う遊びが流行し、白い茶の泡を際立たせるために黒釉の茶盞が重宝されました。
近年では、建盞の製作技術が復興され、その独特の美しさが再評価されています。
天目茶碗の価値を決める重要な要素の一つに、「模様の美しさ」があります。黒釉のシンプルなものに比べ、禾目(のぎもく)、玳瑁(たいまい)、油滴、曜変といった模様が施された作品のほうが、より高く評価される傾向にあります。しかし、近年に安価で大量生産された、ギラギラと輝く天目茶碗は評価の落ち着く傾向にあります。