北久美子は、昭和から平成時代にかけて活躍した日本の洋画家です。
地元の浪速短期大学(現在の大阪芸術大学短期大学部)で洋画家・鍋井克之らに師事して絵画を学び、卒業した同年に第20回記念二紀展へ初入選。その後、第27回女流画家協会展への初入選をはじめ、数々の賞を受賞しました。代表作の『夢想植物園』は文化庁買上げとなり、文化庁芸術家在外特別研修員としてスコットランド、オランダ、フランスへ派遣されるなど、国内外で幅広く活動しました。また、現代日本絵画展(北京・故宮博物院)やジャパン・アート・フェスティバル(ロンドン)などの海外展にも出品し、国際的な評価を得ています。その後は大阪芸術大学で教授・客員教授を務め、後進の育成にも尽力しました。
北久美子の作品は、西洋の油彩技法を基盤としながら、日本の伝統美を融合させた「現代の花鳥画」ともいえる独自の表現が特徴です。欧州での研修を経て、日本の屏風絵や琳派の装飾美を改めて見つめ直したことで、油彩画でありながら和の花鳥画を思わせる空間構成や、独特の構図美を生み出しました。
作品には、鮮やかな青空や幻想的な月夜・夜空を背景に、濃密な緑の葉や色とりどりの花々、鳥や蝶などの動植物が描かれることが多く、背景の青と植物の鮮やかな色彩との対比も大きな魅力となっています。
北久美子は、単なる風景画や静物画にとどまらず、自らの心の中に描いた「楽園」のような世界を、緻密な筆致と豊かな色彩によって表現した作家といえます。
田窪 恭治(たくぼ きょうじ)は、愛媛県出身の日本の現代アーティストです。
多摩美術大学絵画科を卒業後、廃材を使った作品や体を使った表現活動を経て、建築や歴史、自然環境を取り込んだ「風景芸術」へ作風を変えました。
表現の核となるのは、対象となる土地の風土や歴史、四季の移ろいに注目し、建築や空間全体を再生・作品化する手法です。地域に根ざしたモチーフ(林檎や椿など)を扱い、多層に重ねた顔料をノミで削り出す独特の壁画技法や、ガラス瓦による採光などを用いて、自然光や周囲の景観と一体化する空間表現を作り上げます。建造物の記憶や自然の気配を生かし、過去と現代を繋ぐダイナミックなスケール感が特徴です。
フランス・ノルマンディー地方の礼拝堂再建プロジェクトや香川県で琴平山再生計画に取り組むなど、歴史ある地域の風景や建築を統合した再生事業を展開しています。
スィベル・ギュレーはトルコ・イスタンブール出身で、1985年から現在に至るまで活動している近代印象画家です。
イスタンブール美術大学に入学したのち、フランスに渡り印象派美術を学びました。アメリカ・ニューヨーク、サンフランシスコなどでモダンアートなど現代美術に刺激を受け、メキシコなどで伝統美術を研究しました。
1985年に南フランスに本格的なアトリエを構え、1993年~1996年の間にフランス、ドイツ、日本のトルコ大使館で個展開催。2008年には、日本で3回東京のトルコ大使館で個展を開いています。
印象派の表現技法を取り入れ自然な街並みや景色を題材に光を中心とした独自の美しい色彩表現が特徴的です。
イリヤ・クブシノブ氏はロシア出身のイラストレーターで、アニメ『攻殻機動隊』シリーズや『機動戦士ガンダム』シリーズでのイラスト制作や作画監督などを務めた経歴を持ちます。
11歳から17歳までモスクワの美術学院でデッサンや建築について学び、彫刻や建築模型の制作を行いました。大学生になると、建築を学びながら日本の漫画やアニメに関するサークル活動に参加し、同時にゲーム会社でも働き始め、アバターや家具などのデザイン、モーションコミックの制作を行ってきました。現在は日本に在住しており、画集の出版やアニメ作品のイラスト制作、OP・ED映像の作画監督、展覧会の開催など精力的に活動しています。
氏の作品は、ショートヘアの女性をモチーフにしたものが多く見受けられます。また、アニメ調の表現を取り入れた画風も特徴的で可愛らしい表情や女性特有の柔らかいタッチを備えつつも、スタイリッシュな作風であり、男女問わず多くのファンを魅了しています。
トーマス・キンケードは、光の表現や風景描写で知られるアメリカの画家であり、世界中で約30名ほどしかいないとされているディズニー公認作家でもあります。2005年にはカリフォルニアのディズニーランド開園50周年を記念するオフィシャルアーティストに選出され、現地メインストリートでスケッチを行って記念作品を制作しました。同氏の手がけたディズニー作品群では、映画全体のストーリーや複数の名場面をひとつの画面内に凝縮して再構成する「ナラティブ・パノラマ」と呼ばれる手法が用いられています。『美女と野獣』『リトル・マーメイド』『塔の上のラプンツェル』『ライオン・キング』『シンデレラ』など、多岐にわたるアニメーションの世界観や主要キャラクターを、自身特有の光彩効果と温かみのある背景描写と融合させて描き出しました。
作風としては、パステルカラーと鮮やかな照明効果を用い、庭園、小川、石造りのコテージ、灯台、メインストリートなど、アメリカの風景画における理想主義的価値観に基づいたのどかな風景を描くことを特徴としています。同氏は自らを「光の画家」と称して商標登録を行い、設立したトーマス・キンケード・カンパニー等を通じて複製画やライセンス製品の大量展開・販売を行いました。その商業的手法や言動については議論を呼び、一部の美術評論家からは作品について「キッチュ」(俗悪なもの、安っぽいもの、悪趣味なものを意味する言葉)であるとの批判もなされました。同氏は2012年にアルコールとジアゼパムの急性中毒により54歳でこの世を去りました。
志田展哉は現代の日本画家です。
志田は、神奈川県に生まれ、東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻を卒業後、同大学大学院修士課程、さらに博士課程へと進み、日本画について研鑽を積みました。2003年には、東京藝術大学大学院博士課程の研究発表において野村賞を受賞しています。また、佐藤美術館での個展をはじめ、日本橋三越本店、大丸、そごう、東武百貨店などで多数の個展・グループ展を開催しています。
彼の作品は、岩絵具と焼成した銀箔を用いた繊細な画面表現が特徴です。銀箔が生み出す豊かな階調と、青や藍色を基調とした静謐な色彩によって、幻想的な世界観が表現されています。花々や木々、月、星空、猫といった自然や身近なモチーフに加え、電柱や電線など都市風景を象徴するモチーフも取り入れられ、伝統的な日本画の美意識と現代的な感覚が調和した作品を制作しています。
志田展哉は、日本画の伝統的な表現を大切にしながらも、現代の風景や感性を融合させた独自の作品世界を築いている作家です。