RoamCouch(ロームカウチ)は、岐阜県安八町を拠点に活動する日本のストリートアーティストです。
彼は岐阜県に生まれ、本名は小川亮です。緻密なステンシル技法を用いた作品で知られており、日本の浮世絵的感覚と現代ストリートアートを融合させた独自表現によって注目を集めています。幼少期より漫画文化の影響を受けて絵を描き始め、高校卒業後はデザイナーとして活動していました。その後、大病を患った経験を契機に、自身の人生や表現活動を見つめ直し、本格的にアーティストの道へ進んだとされています。
2011年より「RoamCouch」名義で本格的にアーティスト活動を開始し、2014年にはアメリカ・ニューヨークで初の個展を開催しました。また、同年より故郷である岐阜県安八町を中心に無償で壁画を描くプロジェクト、Emotional Bridge Projectを開始し、街中に大型壁画を設置することで、国内外のアートファンの呼び込みを試みています。近年は、美濃和紙を取り入れた作品制作にも取り組んでいます。
彼の作品は、ストリートアートの「ステンシル技法」を高度に発展させ、日本の浮世絵的感覚と融合させている点に特徴があります。本人はこの独自様式を「Neo Ukiyo-e(ネオ浮世絵)」と称しており、50層以上にも及ぶ手切りステンシルを重ねて制作する緻密な手法で知られています。この工程により、通常のステンシルでは難しい滑らかな階調や空気感、奥行き、光の表現を可能にしています。作品によっては制作に数か月を要するものもあるとされ、都市風景、少女像、夜景、星空、廃墟などを題材にした、映画のワンシーンを思わせるノスタルジックな作風も特徴です。
RoamCouchは、緻密なステンシル技法による叙情的かつ幻想的な表現で注目を集める現代ストリートアーティストといえます。
名取春仙は、明治から昭和期にかけて活躍した版画家・挿絵画家・日本画家です。
名取は山梨県に生まれ、本名を名取芳之助といいます。幼少期に上京し、久保田米僊・久保田金僊らに師事して日本画を学びました。その後、平福百穂の影響も受け、写実性を重視した画風を築いていきます。明治後期には東京朝日新聞社で挿絵画家として活動し、夏目漱石『三四郎』をはじめ、島崎藤村、森田草平、泉鏡花ら多くの新聞小説の挿絵を手がけました。
その後は、江戸時代の浮世絵の役者絵の伝統を継承しつつ、歌舞伎役者を描いた作品で高い評価を受けます。歌舞伎界のスターである市川左團次や、映画界の大スターである大河内傳次郎など、当時の人気役者や俳優を数多く描き、高い人気を博しました。
彼の作品は、役者の外見的な似姿だけでなく、演技の最中に現れる心理や緊張感までも描き出しており、目線や口元、顔のわずかな角度の違いによって、役柄の感情や舞台の空気が伝わるような、従来の浮世絵役者絵に比べてより写実性を強めた表現を取り入れています。また新聞小説の挿絵では、日本画の画風に洋画的な構図を取り入れ、小説の情景や登場人物の心理を印象的に表現しました。斬新かつ風格あるその挿絵表現は、新聞界で『挿絵の革命』と評されました。
名取春仙は、江戸時代の浮世絵役者絵の伝統を近代的感覚で再生した、新版画を代表する作家といえます。
KYNEは、物憂げな表情を浮かべたクールな女性像を描くことで知られている日本の現代アーティストです。
彼は福岡で生まれ、デザイン科のある高校で油彩、彫刻、デザインなどを幅広く学びました。大学時代に日本画を学びながら、2006年頃より福岡を拠点に制作活動を開始し、初期はグラフィティやストリートカルチャーを背景に活動していました。街中でのステッカーや壁画表現によって徐々に注目を集め、2010年頃には、現在の代表的作風である「クールな表情の女性像」を描くスタイルを確立しました。
以降は国内外で評価を高め、アパレルブランドとのコラボレーション、CDジャケット、広告ビジュアルなど幅広い分野で活動を展開しています。2017年には福岡で「ON AIR」、2019年には東京に「ON AIR TOKYO」をオープンしました。2020年には福岡市美術館で大型壁画《Untitled》を制作し、2021年には村上隆主宰のKaikai Kiki Galleryで個展を開催するなど注目を集めています。
彼の作品は、1980年代のアイドルや音楽、漫画、レコードジャケットなどの大衆文化や、1990年代のグラフィティ、ヒップホップなどのストリートカルチャーに影響を受けているとされており、平面的で洗練された線描によって構成される女性像は、「KYNE-girl」とも呼ばれています。彼女たちの表情は、見る人それぞれに想像を委ねるような、感情表現を抑えた描写が特徴とされています。
岸田メルは、繊細で透明感のある美少女イラストで知られる日本のイラストレーター・キャラクターデザイナーです。
岸田は愛知県名古屋市に生まれ、高校時代は名古屋の劇団に所属し、俳優活動を行う傍ら、実用書のカバーなどイラストレーターとしての活動も行っていました。劇団解散後はイラストレーター業に専念し、2004年にプロデビューを果たしました。以後、ライトノベル挿絵やゲーム関連イラストで注目を集め、2009年にはガストのゲーム『ロロナのアトリエ ~アーランドの錬金術士~』のキャラクターデザインを担当し、続く『トトリのアトリエ』『メルルのアトリエ』とあわせた“アーランドシリーズ”で広く知られるようになりました。また、2010年放送のアニメ『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』でキャラクター原案を務めるなど、ゲーム・アニメ業界を中心に幅広く活躍しています。
彼の作品は、淡く柔らかな色彩と透明感のある人物表現を特徴としており、繊細な少女キャラクター描写で知られています。髪や衣服の質感が丁寧に描かれている点も魅力で、フリルや装飾を活かした華やかな衣装設計は、可憐で幻想的な世界観を演出しています。色使いについても、強いコントラストよりも、パステル調や淡彩を基調とした柔和な配色が多く、儚さや空気感を感じさせます。さらに、少女キャラクターだけでなく男性キャラクターも描き分けており、繊細さとデザイン性を兼ね備えた作風として高い人気を集めています。
また、岸田メルは独特なキャラクター性でも知られ、コスプレ姿やユーモラスな発信がSNSで話題となることも多く、イラストレーターとしてだけでなく幅広い知名度を持つ作家です。
小林ドンゲ氏は1926年生まれ、東京出身の版画(銅版画)のアーティストです。
特に、「ドライポイント」や「ビュラン」という尖った工具を使って銅の板に直接キズをつけて絵を描く、とても繊細で高い技術が必要な技法を得意としています。
作品の特徴は、その名の由来にもなった「優曇華(ウドンゲ)の糸(※仏教の経典に出てくる、めったに咲かない植物の極細の茎・糸のこと)」を思わせる、「ビュラン」という彫刻刀のような道具によって何重にも重ねられた極細の線による緻密な描写にあります。
描かれるモチーフは、ただ美しいだけでなく、どこか妖しく艶めかしい雰囲気を持った女性が多いです。
原宏之氏は、1961年に福島県で生まれた日本画家です。
もともとは独学で油彩画を描いていましたが、のちに日本画へと転向します。そして特定の美術団体に属さない「無所属」の画家として独自の画風を築き上げました。
彼の作品の大きな魅力は、「清澄な空気感」と「叙情的な風景描写」にあります。油絵で培った感性や空気感の描写力を生かし、山岳や渓流、古寺といった日本の四季折々の風景を、繊細なタッチとさわやかな色彩で描き出しました。透明感のある画面構成が、観る者に深い安らぎと郷愁を印象付けます。
その確かな実力は高く評価されており、外務省による作品の買い上げ実績があるほか、現在は全国の百貨店での個展を中心に精力的に活動を続けています。