各務鑛三(かがみ こうぞう)は、茨城県を拠点とする日本有数のクリスタルガラスメーカー『カガミクリスタル』の創業者です。
1913年に現在の愛知県立瀬戸工科高等学校を卒業後、東京科学大学に進学しました。同大学では、後に重要無形文化財【型絵染】の保持者として人間国宝に認定された芹沢銈介や、1年後に入学した後の人間国宝濱田庄司と親交を深め、生涯にわたる交流を持ちました。
カガミクリスタルの代名詞ともいえる技術であるグラヴィールとは、鉛の含有率が高く透明度の高いクリスタルガラスに、回転する銅板を当てて模様を彫り込む技法です。この作業はすべて職人による手作業で行われるため、非常に精緻で高い評価を受けています。
カガミクリスタルは、花瓶や灰皿、オブジェなどの製品でも知られていますが、その卓越した加工技術は、国内外で高く評価される洋酒のボトルにも採用されています。また、化粧品の香水瓶の制作や、官邸で使用される水差しなどにもその製品が採用されており、その品質と美しさが広く認められています。
オールドノリタケは、ノリタケ製の陶器の中で1800年代末から第二次世界大戦までに作られたアメリカ輸出用の物を指します。輸出用に作成されていたため日本ではあまり流通しておらず、アメリカでアンティークとして人気です。オールドノリタケと呼ばれるようになったのは1990年頃で、英語では「EARLY NORITAKE」と呼ばれています。
オールドノリタケの特徴は製造時期だけでなく製法にもあります。現ノリタケは転写紙などを使用した大量生産のニーズに応えた製法ですが、オールドノリタケは手作業で描かれる美しい絵付けや精巧な細工が施されており高い芸術性を持っています。
オールドノリタケのデザインの特徴として、当時の世の中の生活様式の変化や芸術などを積極的に取り入れていることが挙げられます。そのデザインについても大まかに二つに分けられており、オールドノリタケの初期商品に見られる、多彩な絵の具と金彩で仕上げられたアールヌーボー様式。人々が楽しみや快楽、また風変わりなものを求めてパリ万博以降に世界に広がったアールデコ様式と分けられます。
どちらの商品についても手彩色に金彩が施されているなど、優美さと豪華さを兼ね備えている一級品です。
オールドノリタケの見極めについては、重さや質感や技法など見極め方法がいくつかありますが、一番わかりやすいのは商品裏面にあるバックプリントです。バックプリントは30種類あり印の形や色からも時代が分かるようになっています。さらに、作られた時代だけでなく輸出先や作られた工場や産地なども分かるようになっています。もちろんあまり流通していないバックプリントも存在しており珍しい商品は高額で取引が行われています。
1830年創業フランスのシルバーウェアの老舗ブランド
フランス王ルイ・フィリップやナポレオン3世の時代から、王家御用達として世界の王族貴族に多くの銀器を納めました。
「食卓の芸術品」として広く知られ、パリ・ルーブル美術館などにも今なお数々の作品が展示されています。
世界各国の大使館、公邸、一流ホテル、有名レストランなどでも愛用されており創業以来「創意・伝統・品質」を理念とし、創業者のモットーである「唯一の品質、それは最高の品質」を忠実に守り続けています。
Cristofle(クリストフル)はフランスのパリに本社を持ち1830年、宝石商のシャルル・クリストフルが創立した銀製品の老舗メーカーです。
創業者シャルル・クリストフルの掲げた信条は「オンリーワンの品質」でした。
当初からこの信条に忠実にあり続ける為の必要条件として「常に最新の生産技術を用い、製品品質を継続して高めることで、生産性を高めることが必要」と掲げ、その言葉どおりに常に技術革新を行いました。たちまちクリストフルは銀食器市場の開拓者にして市場におけるリーダーの地位を確立します。
1844年頃にはクリストフルは大量生産の体制を整え、19世紀のクリストフルの銀製品を今でも世界中のアンティークショップや蚤の市で見ることができます。その圧倒的な人気を象徴するようにヨーロッパ各国の銀工房がクリストフルを模倣したと言われています。
サンルイは1586年、フランスはロレーヌ地域で創業したガラス製品メーカーです。ロレーヌはかつてフランス北東部に位置した地域圏で、2016年に周辺地域圏3つが統合され現在はグラン・テスト地圏と呼ばれています。
この地域で開かれたミュンツタール・ガラス工房は、1767年当時のフランス国王ルイ15世から「サンルイ王立ガラス工房」の称号を与えられます。1781年にはクリスタルガラスの製造技術を確立し、ヨーロッパ初のクリスタルガラス製造メーカーとなりました。
クリスタルガラスとは、一般的には基本的なガラスの材料に酸化鉛を添加して作られるガラスのことを指します。酸化鉛を加えることで透明度と屈折率が上がり、水晶のような輝きを持つガラスとなります。それ以外にも、酸化鉛を含まない代わりに酸化カリウムや酸化チタニウムを含むものなどが存在します。
サンルイにはフランス国家最優秀職人章を持つ職人が多数在籍し、成型・カット・装飾に至る全工程を手作業で行っています。
ロレーヌ地方がドイツに割譲されたり、第二次世界大戦によって一時操業停止に追い込まれる等、幾度も危機に瀕してきたサンルイ。それでも灯が消えることは無く、1995年エルメスグループに入り、現在もテーブルウェアやシャンデリア、フラワーベースなどのガラス製品を手作業で作り続けています。
ロイヤルウースター(Royal Worcester)は、1751年に創業したイギリスの歴史のある陶磁器メーカーです。
ウィリアム・デイヴィスが創業者となり、イングランドの中西部に位置するウースター州のセヴァーン川のほとりに開業されました。
1752年に、ソープストーン(硬度が低く石鹸のような質感をもった天然石)を素地に混ぜた軟質磁器を作る「ブリストル工房」を合併し、薄い食器を製造する技術を手に入れ、規模を拡大しました。1789年にはイギリスの陶磁器会社として初めてとなるロイヤルワラントを賜り、晴れて英国王室御用達の窯となりました。
その後は中国製品との価格競争により財政難に陥りますが、フランス旅行から戻ったデイヴィスの息子たちがフランス風のレリーフ技術を持ち込み、イギリスの田園風景やネオ・ロココ調の様式で財政を立て直していきます。
19世紀からは、いくつもの工場を合併し事業を拡大するとともに、新しい挑戦を続けさらなる成長を遂げていきました。その後20世紀に入ってからは海外製品との競争にさらされ、スポードと経営統合します。2009年にはポートメリオンの傘下となっております。
ノリタケは1904年に設立された『日本陶器合名会社』を起源とする日本の陶磁器メーカーです。
現ノリタケカンパニーリミテドの前身となった日本陶器合名会社の創設者である森村市左衛門は、代々武具商であった森村家の6代目です。
開国後海外に日本の金が大量に安価で輸出されていくことに危機感を覚えた市左衛門は、福沢諭吉の助言もあり、輸出貿易で外貨を獲得するために弟の森村豊と共に輸入雑貨店を開業します。
森村豊は慶応義塾を卒業後、助教として働いていましたが、アメリカですでに日米貿易の会社を運営していた佐藤百太郎の勧めでニューヨークへと渡っていました。
当初は雑貨や骨董の輸出を主としていましたが、事業の中で陶磁器の需要を見出した市左衛門は、自分たちで白色磁器を製造・販売する方向にシフトしていきます。
当時の日本の技術では白色磁器の製造は高い難易度を誇りましたが、計画から10年以上が経った1914年に日本で最初のディナーセットの製造に成功します。
そうして設立された日本陶器合名会社は、日本で初めて高価格帯の洋食器を生産し、特に欧米で高い人気を誇りました。
特に戦前までに輸出された製品を『オールドノリタケ』と呼び、金盛装飾の施された華美なデザインは現在でもコレクターの間で人気の高い品となっています。