ダントニアン(Dantonian)は、1971年にデンマークのパイプ作家であるスヴェン・ヌードセン(Sven Knudsen)とテディ・ヌードセン(Teddy Knudsen)の兄弟によって設立されたパイプ工房(Dantonian PipeWorks)およびそのブランドです。
デンマークのパイプ制作文化は、第二次世界大戦後にシックステン・イヴァルソン(Sixten Ivarsson)らの職人によって確立しました。伝統的なイギリス式の作り方とは異なり、ブライヤーの木目を観察しながら形を削り出す「フリーハンド」と呼ばれる独自の手法が考案されました。
この手法は様々な工房やメーカーを通じて広まり、デンマークの機能主義(ファンクショナリズム)のデザイン美学を取り入れた独自の作風を形作りました。ダントニアンもその流れを汲む工房の一つです。
流通の少ない希少なブランドですが、彼らが削り出したパイプの木目の美しさはもちろん、手に馴染む実用性は確かなもので、世界中の愛好家から支持を得ています。
Tiche(ティケ)は1962年にイタリアで創業した磁器ブランドです。
正式なブランド名は『Tiche Porcellane d’Arte(ティケ・ポルチェラーネ・ダルテ)』ですが、市場ではTiche(ティケ)と呼ばれるのが一般的です。
人物や動物、馬車などをモチーフとしたフィギュリンをはじめ、ヨーロッパの歴史や文化を感じさせる装飾性豊かな作品を数多く手掛けていることで知られています。
細部までこだわられた造形や繊細な彩色などが特徴で、ヨーロッパの伝統的な様式を取り入れた優雅で華やかなデザインが多く、インテリアとして飾るだけではなくコレクションアイテムとしても親しまれています。
また、大型の馬車や人物を題材とした作品は存在感があり、緻密に施された装飾や職人の卓越した技術が随所に感じられる点も、大きな魅力の一つです。
現在でもTiche(ティケ)の作品は、イタリア磁器ならではの芸術性や装飾美を楽しめるブランドとして、多くのコレクターから注目されています。
ゲルト・ホルベック(Gert Holbek)はデンマークを代表するパイプ職人の一人です。
1950年代より活動を開始し、素材であるブライヤーの木目を活かした無駄のない北欧デザインのパイプを製作し、デンマークのパイプ黄金期を牽引しました。当初は名もなきパイプ職人の一人でしたが、老舗パイプ店「パイプダン(Pibe-Dan)」の創業者ダン・クリステンセン(H. Dan-Christensen)と出会ったことをきっかけに、名が知られるようになっていきます。
後年にはデザイナーとして、デンマークで有名な銀食器メーカー『ジョージ・ジェンセン社』から発表されたカトラリー「Prisme」を共同デザインするなど、幅広い分野で足跡を残しています。
伝統的な形状を基礎としつつ、機能性と造形美を追求した手作業による作品は、今なお世界中のパイプ愛好家に親しまれています。
Former(フォーマー)は、デンマークを代表するパイプ職人ハンス・ニールセンによるハンドメイドのパイプブランドです。
ハンス・ニールセンはデンマーク王室御用達の葉巻商“W.Øラールセン・パイプ工房”で工場長を務め、その後独立してこのブランドを立ち上げました。「Former」の名は、青年期に英国俳優ジョージ・フォームビーに似ていたことから付いた愛称に由来します。この愛称はのちに、デンマーク語や英語で「形を作る者」「造形師(Formを成す者)」を意味する言葉とも重なり、彼を象徴する職人名として定着していきました。
木材の個性を生かしながら一点ずつ制作する姿勢、実用性の高さと造形の美しさの両立によって、世界中の喫煙者のみならずコレクターからも支持を得ています。
S.Bang COPENHAGENは、デンマーク・コペンハーゲンにあるパイプ工房です。
創業者であるスヴェント・バングは、1941年にパイプやタバコを扱う商店を開業しました。バング自身はごく少数のパイプしか製作しておらず、主に経営者として工房運営に携わっていたことで知られています。
1968年にタバコ店に併設して「S.Bang COPENHAGEN」の工房を設立しました。
以後、ウルフ・ノルテンスマイヤーとペル・ハンセンの2人のパイプ職人を中心に、年間約500本程度のパイプが製造されました。。
S.Bang社のパイプは、厳選された高品質のブライヤー材を使用し、熟練された職人の手作業によって一本ずつ製作されています。その品質と仕上がりの美しさから、世界的に高い評価を受けています。
1984年にスヴェント・バングが引退し、工房はノルテンスマイヤーとハンセンに引き継がれました。これに伴い、パイプのシャフト部分にある社名の刻印は、英語表記の「S.BANG COPENHAGEN」から、デンマーク語表記の「S.BANG KOBENHAVN」の変更されたことで知られています。
また、S.Bangのパイプには製作者を示す刻印が残されています。ノルテンスマイヤー製は「UN」、ハンセン製は「PH」のモノグラム刻印が確認できます。
1970年頃からヨーロッパ向けのパイプには、グレードの刻印が施されるようになりました。
グレードは一般的にBlack blast→Tan blast→5→6→7→8→9→A→B→C→Dの順で設定されており、最上位の「D」グレードは極めて希少とされています。
さらに1990年頃からは、アメリカ輸出向けのパイプには年号2桁とシリアル2桁の4桁のコードが刻まれるようになりました。これらは全て高品質な輸出向けモデルであったため、従来のグレードの刻印は施されていません。
シリアル2桁はその年の何番目に作られたかを表します。例えば、「PH」と「9532」の刻印がある場合は、「ペル・ハンセンが1995年の32番目に製作したパイプ」であることを表しています。
このように、丁寧な手作業で作られたS.Bangの一点物のパイプは、世界中の愛好家から高い支持を集めています。
ハマースレイは、1887年に英国陶磁器の聖地ストーク・オン・トレントで創業された、ヴィクトリア朝の面影を色濃く残す名窯です。
最大の特徴は、熟練職人による重厚で華やかな金彩装飾(ギルディング)と、まるで本物の植物図譜のように繊細で鮮やかなボタニカルモチーフの融合にあります。特にコバルトブルーやアイボリー地に施された厚みのある金彩は、英国陶磁器らしい気品と存在感を感じさせます。
また、ハマースレイは非常にシェイプ(型)の種類が豊富なことでも知られており、波打つようなスカラップ状の縁取りや、立体感のあるエンボス加工など、装飾性に優れた作品を数多く生み出しました。テーブルに置くだけで、英国式アフタヌーンティー文化を象徴するような華やかな空間を演出してくれます。
1970年代以降はロイヤル・ウースターやスポードの傘下へと移行し、現在はすでに生産終了となっているため、「絶版の英国名窯」としてコレクター人気も高く、現在でもアンティーク市場で高い評価を受けています。