神坂 雪佳

絵師 神坂 雪佳（かみさか せっか）

生没： 1866-1942

神坂雪佳はどのような人物か？
絵師としてはもちろん優れた工芸品デザイナーとして明治から昭和の時代に大活躍し、京都の地で琳派の復興をもたらす等を功績を残しました。また典雅な作風によって海外でも非常に高い評価を受けている日本人芸術家のひとりです。

神坂雪佳は明治維新を目前に控えた1866年、京都御所に仕えた武士、神坂吉重の長男として生まれ、幕末から明治にかけた時代の激動により武士たちは当然、職を失い、その子息も職業を模索しなくてはなりませんでした。
武士にとっては苦難の時代の訪れです。
雪佳は16歳の時、四条派の絵師である鈴木瑞彦に師事し、画家としてスタートしました、明治という時代に西欧文化に目を向けますが、雪佳の目の付け所は人とは一風変わっておりました。
ひとり日本の伝統的な装飾美術こそが自ら目指す場所であると目を付け悟りました。
23歳の時、工芸会で指導的立場であった図案家、岸光景に弟子入りして工芸意匠を学び初めました。光景のもとで図案制作に取り組む中、雪佳の才能、努力はそこだけには収まらず染織や陶芸をはじめとする京都の伝統的な工芸の世界に多大な影響を及ぼしていきます。雪佳の参加した工芸作品の評価がどんどんと上がっていきました。

雪佳は絵画作品の中に京都で受け継がれてきた伝統と雅の文化を独自の新たなる解釈と平易な手法により表現する事で、情緒豊かな季節を感じさせる草花や花鳥画の数々等の雪佳ならでは、雪佳だから描くことが出来るユニークな絵画を数多く生み出しました。
中でも琳派の特徴でもある大胆なデフォルメとクローズアップによる構成や、さらには宗達由来の「たらし込み」等の手法を取り入れた作品は華やかでモダンな雰囲気を醸し出し近代琳派を確立していきました。
その後も雪佳は絵画のみならず、人々の暮らしを彩るありとあらゆる文化で手腕を発揮し、京都の工芸界を活性化させました。とても多才で正に総合デザイナーと言えるでしょう。

神坂 雪佳 略歴