皆さんこんにちは、緑和堂東京支店でございます。
今回ご紹介する作品は、今泉今右衛門作「色鍋島丸紋絵花瓶」です。
今右衛門の色絵磁器は、江戸期の美意識と品格を今に伝えており手仕事による
技術は轆轤、染付の線引き・濃み、柞灰により釉薬、松木の薪による窯焚き、
また、赤絵(赤・黄・緑の上絵)の調合や技術により高い評価を受け、国の重要無形文化財の認定を受けております。
文禄・慶長の役後、李修平をはじめとする李朝の帰化陶工団により有田泉山の
地で良質の陶石が発見され、日本で初めての磁器が1610年代に有田で焼かれました。その後、1640年代には赤絵(色絵)の手法が中国より伝わった頃から初代今右衛門も赤絵の仕事をしたと言われております。赤絵屋は寛文年間に有田内山に11軒(後に16軒)集結し、鍋島藩の保護のもとに置かれ、その中で最も技術があった今泉今右衛門が藩の御用赤絵師として藩窯の色絵付けを指名されました。
江戸中期の多久家古文書では、今右衛門の技術の優秀さを「本朝無類」の色絵と認めていることが書き記されております。
江戸期より370年続く伝統を代々受け継ぎ、当代である十四代目は江戸期からあある染付の中に白抜きの文様を作る時に用いる「墨はじき」といった技法に着目し、「藍色墨はじき」、「墨色墨はじき」、墨はじきを重ねていく「層々墨はじき」、微妙な白の雰囲気の「雪花墨はじき」の作品を作り出しています。
墨はじきシリーズは現在では今右衛門を代表する作品として大変人気になっています。
今回のお品物は、12代が作成した作品となります。高さはおよそ30cmあり、全面に花や丸紋の描かれた美しい作品となります。木箱の表面全体に薄いシミが入っておりますが立派な作品であり、知名度の高い作家である事を考慮しまして今回の評価となりました。