今回ご紹介させていただくお品物は『絵唐津 茶碗』です。
唐津焼の起源ははっきりとは分かっておりませんが、室町末頃には現在の佐賀県唐津市のいくつかの窯で焼かれていたそうです。
作風や絵付けに李朝の面影を感じさせるのは、当時朝鮮との交易の中で移住してきた人々を中心に焼かれていたからだと言われております。
こちらの茶碗は上記で説明した古唐津の写し物でございます。
一見李朝風の素朴な印象を感じる茶碗ですが、絵付けにややぎこちなさを感じます。逆に時代物になると筆が流れるようにしっかりと絵付けされているものが多く、かすれていないのが特徴です。
また唐津は露胎の土も評価する上で重要なポイントでございます。
釉薬がかかっていない露胎部分に注目し、土が暗くポツポツしたように感じるものは写し物の可能性が非常に高いです。
今回のお品物は時代物の特徴を出すように作られた写し物でございました。
しかし鉄絵で表現された絵付けは面白く、絵唐津の特徴を少なからず具備しているお品物だったため総評してこちらの評価とさせていただきました。
今回ご来店いただいたお客様はお母様が大切にされていた物なのでしっかりと価値を知ったうえで手放したいと弊社にご相談いただきました。
弊社ではただ評価をお伝えするだけでなく、評価の理由や鑑定のポイントをわかりやすくお客様にお伝えできるよう数多くのオークションに通い新しい情報を仕入れております。
唐津に関しては無地唐津や斑唐津などの作風によって評価ポイントが異なるため、お持ちのお品物でわからないことがあれば、弊社スタッフまでお気軽にご相談ください。