城間栄順 『琉球紅型 名古屋帯』

今回ご紹介するのは、城間栄順 作　琉球紅型 名古屋帯です。

城間栄順（しろま えいじゅん）は、琉球紅型を代表する染色家であり、紅型の名門・城間家十五代目として知られています。現在は十六代目である城間栄市とともに、城間紅型工房にて精力的に創作活動を続けておられます。海や魚などの沖縄の自然を、力強さと繊細さをあわせ持つ独自の表現で描き出し、その芸術性は高く評価されています。

本作は、伝統的な紅型の技法を駆使し、白を基調とした地に、唐草を思わせる植物文様と流麗な曲線を重ね合わせた意匠が際立ちます。その清澄な色合いと伸びやかな構図は、まるで沖縄の海の透明感や豊かな自然を映し取ったかのような趣を感じさせます。

城間栄順による夏帯は非常に希少で、市場に出回ること自体が珍しく、蒐集家にとっても見逃すことのできない逸品といえるでしょう。加えて、本作には栄順本人の落款がしっかりと確認でき、保存状態も良好であることから、今回特に高い評価をさせていただきました。