南部吉英は富山県南砺市井波出身の漆芸家・木彫作家です。
井波は「井波彫刻」で知られる木彫の名産地で、南部家は代々その中心で活躍してきた宮大工・漆工の家系です。吉英はその四代目にあたります。
「獅子頭」とは、主に獅子舞や神楽・祭礼などで用いられる獅子(しし)の頭部を模した木彫彫刻物です。彼の作品では木彫で形を彫り出した上で、朱漆・金箔・塗箔などを施した「木彫+漆芸」の仕上げが一つの大きな特徴です。
井波彫刻由来の立体感の強い造形表現が根本にあります。
単なる絵漆や表面装飾ではなく、彫りと塗りの両面が強い作品が多いです。
「職人の技を基盤にしながら、芸術表現へ踏み込んだ作家」と評価されている点と状態の良さも考慮してこちらの評価額となりました。