十代 楽吉左衛門(旦入)は、楽焼の茶碗師として、千家に茶道具を納める「千家十職」の一つである楽家を継承した人物です。
本作は、赤楽特有の鮮やかな焼成肌と、深く削り込まれた茶溜りが印象的な一碗で、寒中に手を包み込むような筒形の造形が、「冬ごもり」の銘にふさわしい侘びた趣を湛えています。
楽焼の伝統を踏まえながらも、旦入ならではの力強い造形美が存分に発揮された、代表作のひとつといえる作品です。
本作には、裏千家十五代・鵬雲斎によって「冬ごもり」の銘が授けられており、極箱の存在からも、本作が格式の高い作品であることがうかがえます。
以上の点に加え、作品の状態が良好であること、また鵬雲斎の書付がある点を総合的に考慮し、上記の評価とさせていただきました。