本作は、江戸切子作家・但野英芳作のぐい呑み『鯉』です。
但野英芳は1970年生まれの江戸切子作家です。
2006年には経済産業大臣指定伝統的工芸品「江戸切子」の伝統工芸士に認定されましたが、一職人として制作活動に専念するとの理由から、2019年に同資格を自主返納しています。
但野氏の作風は、伝統的な直線基調の幾何学模様にとどまらず、二色被せ(にしょくきせ)ガラスの使用や削る深さの変化でグラデーションや立体感を、また複数のダイヤモンドホイールの使い分けにより曲線や複雑なカットを上限しています。
金魚や鯉などの魚類をはじめ、樹木などの動植物、自然の風景、さらには独自の抽象文様まで、多彩なモチーフに取り入れた独自の表現技法を確立しています。
本作は、但野氏が得意とする魚をモチーフとしたぐい吞みです。
ぐい呑みの半周を覆い悠然と漂う鯉の姿はとても迫力があります。伝統的な直線基調のカットで鯉のうろこを表現するなど、江戸切子の伝統技法と但野氏独自の表現が存分に生かされた作品です。
こちらは、専用の共箱が付属し、保存状態も非常に良好であることから、こちらの評価となります。