こちらのお品物は、秦蔵六(はた ぞうろく)が手掛けた錫製の茶壷です。 秦蔵六は江戸時代末期から現在まで六代続いており、初代から当代の六代目まで代々「蔵六」の名を受け継ぐ京都の鋳金家(ちゅうきんか)の家系です。
秦蔵六が得意とするのは鋳金という技法ですが、その中でも特に高度な「蝋型(ろうがた)」と呼ばれる技法を得意としています。蝋型とは、蝋で原型を形づくる技法です。原型が完成したらそれを土で覆い、加熱して蝋を溶かし出します。その型の中に溶かした金属を流し入れ、冷やして固まったところで土を割ると中から蝋で作った原型と同じ形の金属が姿を現す仕組みになっています。
丹念に作り上げた原型をその都度溶かし出すため、一つの型から一つの作品しか作ることができない、非常に手間と技術を要する技法といえます。
こちらのお品物は、そうした手間や時間をかけて作られた一点であり、また錫製の茶壷として高い密閉性を備えていることから、茶葉の保存に最適な素材として大変人気があります。側面には漢詩や草花が彫られており、美術品としての気品と風格を備えた仕上がりとなっています。
今回は共箱が付随しており、状態が良いお品物である点を考慮し、こちらの評価といたしました。茶壷のほか、蔵六作品を緑和堂では多く取り扱っております。どうぞお気軽にご相談ください。