今回ご紹介するお品物は、西村虚空作 都山流歌口仕様 尺八(二尺六寸)でございます。
尺八は日本の伝統的な木管楽器で、竹の素材感や息づかいが生み出す深みのある音色が魅力です。一般的に用いられる尺八の長さは「一尺八寸(約54.5cm)」ですが、流派や楽曲によって様々な長さのものが存在します。また、歌口(吹き口)の形状には流派による違いがあり、都山流は三日月型の角が入っている点が特徴で、近代的な合奏や多彩な表現に適しています。
作者の西村虚空は、自身も優れた演奏家でありながら、製管師・彫刻家でもありました。長管尺八「虚鐸(きょたく)」の第一人者として知られる名工です。太い竹を活かした重低音の豊かな鳴りと優れた響きで、国内外の愛好家から高い評価を受けています。
本作は二尺六寸(約78.8cm)というかなりの長尺管であり、都山流の歌口仕様で仕立てられた一管です。彫刻家でもある作者ならではの確かな技術により、管身には牡丹などの繊細な彫刻が施されており、工芸的にも大変味わい深い一品となっています。
竹の保存状態もひび割れなどの大きなダメージがなく良好で、作家のサイン(銘)もしっかりと確認できたことから、こちらの評価とさせていただきました。