浅蔵 五十吉

浅蔵 五十吉は三代続く陶芸家として知られています。

二代 浅蔵 五十吉は、1913年、石川県能美郡寺井町(現能美市)に生まれました。
小学校を卒業後、父である初代 浅蔵五十吉より陶芸を習い、15歳の頃から初代徳田八十吉に師事しました。1946年からは九谷焼の巨匠であった北出塔次郎にも師事し、色絵の技術を磨きました。

1946年の第1回日本美術展覧会(通称日展)で入選を果たし、以降も入選を続け、1977年の第9回日展では内閣総理大臣賞を受賞しました。
1992年には文化功労賞受賞、1996年には文化勲章を受章しています。

能美市九谷焼美術館敷地内に浅蔵五十吉記念館があり、設計は親交のあった建築家の池原義郎が担当しており、代表作を間近で見ることができます。

10年ごとに作品の様式を大きく変える行動力を持ち、木々や動植物等のモチーフはそのままに形や技法はまったく別の作者かのように変遷していきます。
初期の作品は黄色いものが多く、年代を経るごとに緑や銀彩へと変化していきます。最晩年である1993年ころからは白釉に挑戦するなど、生涯を通して新たな技法・作風を追い求めました。

また、1999年には後継者が三代目を襲名し、九谷焼伝統の絵付けの技法を受け継ぎつつ、現代的な器を制作しています。

山本 長左

山本長左氏は石川県加賀市で活躍する九谷焼の陶芸家で、「藍九谷」と呼ばれる染付け技法に優れた作品を制作されています。
型打ちによる素地に呉須で直接描く染付けは、焼成後に鮮やかな藍色に変化し、独特の風合いを生み出します。1990年には宮内庁から依頼を受け、天皇皇后両陛下の御紋入器を制作するなど、皇室や政府関連の重要な器も手掛けてこられました。工房「妙泉陶房」では、絵付けを長左氏が担当し、弟の篤氏が成形を行い、弟子とともに日常使いの器を制作。弟子は3年で独立させる方針を取り、個々の個性を尊重した分業体制を整えています。長左氏の作品は美しい染付けと使いやすさで多くの人々に愛され、食卓に豊かな時間をもたらしています。

須田 菁華

須田菁華は、現代まで続く九谷焼の陶工です。

初代須田菁華は1862年、石川県金沢市に生まれました。
九谷本窯の流れを汲む九谷陶器会社の画工長を経て、1906年、石川県加賀市山代温泉に菁華窯を築きました。染付を始めとして祥瑞・呉須赤絵、古九谷などの彷古品に優れ、その作品は多岐に渡ります

1915年には、「金沢最後の文人」と称された細野燕台に連れられ、まだ無名だった当時33歳の北大路魯山人が菁華窯に訪れており、彼が陶芸の道へ進むきっかけを与えました。

現在は1981年より四代目・須田菁華が名を襲名しており、明治時代から蹴ろくろ・登り窯を用いた作陶を続けています。登り窯は数日間薪を焚き続ける性質上、大量の煙が出てしまい環境に悪影響を及ぼしかねないことが現代においてはネックでしたが、菁華窯では煙を出さない現代の技術を使用することで古来より続く手仕事の技法を守り続けることが可能となっています。

清水 翠東

清水翠東は九谷焼の絵付師です。

1910年に石川県金沢市で生まれ、13歳の時に九谷焼絵付師の伊藤泰山に師事しました。20歳の時には神戸で薩摩焼画師の黒田孝次に師事しています。その後、日本画を学ぶため宮崎翠涛に師事し、展覧会で入選を果たしています。九谷焼の絵付は終戦と同時期に開始しています。1976年に石川県伝統産業功労賞を受賞し、1981年には通産大臣認定の伝統工芸士となっています。

その作風は、九谷焼の五彩に加えて、伝統的な釉裏金彩を施すものです。花鳥風月、山水、人物のモチーフを得意としており、緻密な色付けは金澤九谷絵付師の中でもトップクラスの実力があると言われています。

見附 正康

見附正康は九谷焼の作家です。

1975年に石川県に生まれ、石川県九谷焼技術研修所在学中に九谷焼の名工・福島武山出会ったことで卒業後に師事します。その後は作品が認められない日々が続きますが、ある時オオタファインアーツの大田氏に注目されるようになったことでグループ展に出展するようになったり、経済産業大臣指定伝統工芸技士として認定されたりと活躍の幅を広げることになりました。
その後2007年に独立し、自宅に工房を構え作陶にはげみ、個展やアートイベントにも出展、第9回パラミタ陶芸大賞なども受賞しております。

作風としては人物や花鳥などの伝統的な九谷焼の赤絵の絵付のものありますが、緻密で繊細な線描で描かれた文様やパターンの絵付を得意としており、超絶的な技術が込められた作品には目を見張るものがあります。また、海外で見た建造物などからヒントを得ることもあり、伝統ある九谷焼の絵付と現代的なデザインが融合した新たなジャンルの作品であるとも言えます。

 

山近 泰

山近泰は1975年石川県能美郡にある代々続く窯元に生まれ、幼いころから九谷焼に囲まれて育ちました。
九谷五彩と呼ばれる赤・緑・黄・紫・紺青を駆使して、様々な動物や植物を生き生きと描く新進気鋭の陶芸家であり、その色鮮やかな色彩は、九谷焼の伝統を引き継ぎながらも、幻想的で独特な世界観を創り出しています。
造形から上絵付までの全ての工程を自ら手がける彼の作品は、平成29年伝統九谷焼工芸展で最優秀賞を受賞するなど、多くの美術展や工芸展で高い評価を得ています。
山近泰はもともと清山窯4代目として生まれましたが、独自の世界観を表現するためにも2011年、石川県野々市市に大志窯を開窯しました。

また、2022年にはイタリアの高級車ブランドであるアルファロメオのノベルティ制作を手がけ、さらに活動の幅を広げています。

武腰 潤

現代九谷の代表作家である武腰潤。九谷焼の伝統様式を受け継ぎつつ、現代技術により再現されるその作品は、自身の憧れである古九谷を越えるため、いまなお進化を続けています。 武腰は九谷泰山窯の4代目として石川県に生まれました。大 …

青木 木米

青木木米は、江戸後期の陶工,南画家です。 京都祇園の茶屋「木屋」に青木左兵衛の子として生まれました。俗称は八十八、縮めて米と称し、屋号の木を取ってあわせ木米と名乗りました。字は佐平、号は九々麟・百六散人・古器観・聾米など …