李迪

李迪は、中国の南宋時代(1127年-1197年)に活躍した宮廷画家です。

李迪に関する情報は少なく、生没年は不明ですが河陽出身とされています。

花鳥画や動きのある作品が得意で、南宋時代を代表する画家の一人として知られています。

時代ごとに画風が変わっていきますが、南宋時代は宮廷画院の画家たちが活躍した最盛期とも言われており、今でも質の高い作品が多く残されています。
特に李迪は、伝統を尊重した写実性や装飾性を重要視した作品を多く描きました。

繊細な筆使いや、細部まで写実的に描かれた味わい深い作品たちは、後世においても評価が非常に高く、今も東京国立博物館などで保存されています。

代表作には『紅白芙蓉図』『雪中帰牧図』などがあります。

建窯

建窯(けんよう)は、中国福建省南平市建陽区水吉鎮付近にあった宋代の名窯です。

特に黒釉の茶盞「建盞」の生産で知られ、兎毫盞、油滴盞、曜変盞など、多彩な釉薬効果を持つ作品が生み出されました。これらは日本に伝わった際に「天目茶碗」と呼ばれ、珍重されました。

宋代には、皇室や貴族の間で「闘茶」という茶の品質を競う遊びが流行し、白い茶の泡を際立たせるために黒釉の茶盞が重宝されました。

近年では、建盞の製作技術が復興され、その独特の美しさが再評価されています。

天目茶碗の価値を決める重要な要素の一つに、「模様の美しさ」があります。黒釉のシンプルなものに比べ、禾目(のぎもく)、玳瑁(たいまい)、油滴、曜変といった模様が施された作品のほうが、より高く評価される傾向にあります。しかし、近年に安価で大量生産された、ギラギラと輝く天目茶碗は評価の落ち着く傾向にあります。

郭煕

郭煕は、中国北宋時代を代表する山水画家です。

 

宋の第五代皇帝・神宗のもとで宮廷画家として仕え、その才能と技術によって、山水画の発展に大きく貢献しました。特に、自然の雄大さや繊細さを捉える力に優れ、北宋山水画の頂点を築いた人物として知られています。

 

彼の作風は、自然の奥行きや広がりを表現する革新的な技法で特徴づけられます。
特に有名なのは、郭煕が自著『林泉高致』で論じた「三遠」と呼ばれる表現技術です。高さを感じさせる「高遠」、奥行きを強調する「深遠」、そして広がりを見せる「平遠」という三つの視点を巧みに組み合わせ、壮大な風景の立体感と空間の広がりを描き出しました。
筆致は力強くも繊細で、山や川、霧といった自然の要素を生き生きと表現し、静謐な中に動きを感じさせる独特の美しさを放っています。

 

彼の代表作である『早春図』は、冬の終わりから春の訪れを描いた名作として知られ、濃淡の変化や霧の表現が非常に巧みです。この作品は、現在台北の国立故宮博物院に所蔵されており、宋期の至宝として語り継がれております。

 

愛新覚羅 溥傑

愛新覚羅 溥傑は、清・満洲国の皇帝である愛新覚羅溥儀の同母弟です。
ラストエンペラーの実弟として、波乱万丈な生涯を歩みました。

皇帝一族である愛新覚羅家は、その政治的・歴史的な役割のほかにも書家として高名です。
書の格と政治的な格とが繋がる文化を背景に、各々が一族の上の存在から書を学びました。またその後生涯において政治的な活動を行う上で、書を記す行為はずっと続いたことでしょう。
その取り組みの中で、それぞれの型が醸成され評価されるものとなりました。

愛新覚羅溥傑の書は、流れる水のようなフォルムが特徴的です。
溥傑の遺した書をもとに、『相依為命体(そういいめいたい)書体』としてフォント化もされております。
溥傑は波乱曲折の人生を得て、日中友好に大きく貢献しその生涯を閉じます。
一言では言い表せない壮絶な人生のなかで、その美しいどこか淡々とした風情の書を書き残した愛新覚羅溥傑。その作品は、氏の人生や歴史を感じることによって、より一層想い深く鑑賞されるものでしょう。

葛明祥

葛明祥(かつめいしょう)
清朝乾隆・嘉慶年間(1736年-1821年)頃に活躍していた、宜興窯(ぎこうよう)の陶工で親子三代にわたってこの銘を使用していたとされています。宜興窯では鈞州とよばれた河南省禹県を中心に作られた鈞窯(きんよう)という青磁陶器を製作しておりました。

単色が特徴的な鈞窯釉ですが、葛明祥と弟の葛源祥(かつげんしょう)が継承し発展させたのが海鼠釉(なまこゆう)になります。当時、多くの作品は日本に輸出された関係で中国にはあまりないそうです。

葛明祥の代表的な作品で海鼠釉が施されているのが、花瓶、壺、水盆、火鉢等になり同時に需要が高いのも特徴的ではあります。基本青い海鼠釉が印象的ではありますが、中には白い海鼠釉を施した作品もあるそうです。

落款もとても読みやすい作家になりますので、ご実家の整理やご自宅のコレクションで似たお品物がございましたらお気軽にお問合せして下さいませ。もちろん上記以外の作家や骨董品もお取扱いしております。

端渓硯

中国文人の文房趣味とされる硯、墨、筆、紙の四つの文房具のことを文房四宝(ぶんぼうしほう)といい、文房四宝の硯の中でも最高峰とされているのが今回ご紹介する端渓硯になります。

中国の硯は唐硯(とうけん)と呼ばれ中国四大名硯として種類は端渓硯(たんけいけん)、歙州硯(きゅうじゅうけん)、洮河緑石硯(とうがりょくせきけん)澄泥硯(ちょうでいけん)の大きく4つに分けられます。
この他にも代表的なもので松花江緑石硯(しょうかこうりょくせきけん)、羅紋硯(らもんけん)があります。

唐硯全体の特徴としては装飾が豪華なものが多いという点と、硯に天然石が持つ紋様が表れるという点にあります。
この紋様のことを石紋(せきもん)といい、天然石特有の多種多様な紋様が、観賞価値を高めるためには非常に重要なものとなっております。
石紋で有名なものが、青花(せいか)、蕉葉白(しょうようはく)、冰紋(ひょうもん)臙脂暈(えんじうん)翡翠(ひすい)石眼(せきがん)金、銀線(きん、ぎんせん)等多くの種類が存在します。

画像の物は硯全体が壷型の形をしており、二体の獅子が彫刻された珍しいお品物であり、機械で彫刻されたものではなく手掘りの作品で、こちらが老坑と呼ばれる珍しい石を使っていたり石の紋様である石紋というものがあれば高値の評価額が期待できるお品物になっております。

この他にも、中国骨董は中国人バイヤーの方にも大変人気があり、中国で起きた文化大革命(1966年~1977年)以前のお品物でしたら、書道具に限らず高値の評価額が期待できます。

中国郵政

中国郵政(中国郵政集団有限公司)は、中国中央政府管理下の郵政企業です。 1949年に「中国人民郵政」として発足して以後、郵政事業を主軸に物流等を担う機関として中国で大きな位置を占めてきました。2020年には現在の社名への …

王 錫良

王錫良は、中国の美術工芸作家です。 1922年の景徳鎮に生まれ、若くから珠山八友の一人である王大凡に師事し、磁器と絵画を学びました。 1950年頃に在籍していた陶器科学研究院では、王大凡をはじめとする景徳鎮磁器の実力者た …

藩 天寿

潘天寿は中国・浙江省寧波市に生まれた画家・美術教育家です。幼少期から書道、絵画、切手彫刻などに興味を持ちます。特に書道と絵画に熱中し生涯をささげる決意をしたほどでした。 学政時代は成績も優秀で、卒業後は教師として小学生を …

申 正熙

申 正熙(シンジョンヒ)は、韓国で最初に高麗茶碗を再現した陶芸家です。 高麗陶器は当時、世界最高水準にあり、その素朴で温かみのある作品は多くの韓国人に愛され、日本でも茶人からその雅趣が高く評価され、国宝的な存在として数々 …

王 一亭(王震)

王一亭は書画家であり、実業家であり、政治家でもある稀有な経歴を持つ作家です。どの分野でも非凡な才能を発揮した著名人です。 王一亭には様々な名があり作品によって使い分けていました。本名は「震」という名ですが、作品名には「白 …

李 思訓

李 思訓(り しくん 651年~718年)唐時代玄宗朝に仕えた官僚である。画に長じており、子の李昭道とともに北宗画の祖とされています。若いころから芸才に優れており、唐の第3代皇帝の高宗の時に、江都令に就任しました。しかし …

呉 昌碩

1844年9月12日~1927年11月29日 呉 昌碩(ごしょうせき)は、中国の清朝末期から近代にかけて活躍した画家、書画、篆刻家になり清の時代最後の文人といわれております。詩、書、画、篆刻ともに精通し「四絶」と称賛され …

鈞窯

宋時代に繁栄し、人々を魅了した中国の五大名窯の一つが「鈞窯」です。 鈞窯はそれぞれ特徴のあった五大名窯の中でも釉薬の色に独創性があったことで知られております。 基本的な釉調は青みを帯びておりますが、釉薬の色に濃淡の差があ …

磁州窯

中国を代表する名窯の一つ、それは「磁州窯(じしゅうよう)」です。 中国河北省磁県を中心とする民窯で、起源は五代十国時代ではないかと言われており、その歴史は1000年以上にもなる窯です。 磁州窯でも特に評価が高いと言われて …

沈 南蘋 (沈銓)

緻密に写生された色鮮やかな動植物。中国、清代の画家・沈 南蘋によってもたらされた新たな画風は、当時硬直していた日本絵画界に新しい風をもたらします。 南蘋は絹織物商の子として生まれますが、絵に興味を持ち画家・胡 湄に入門。 …

龍泉窯

龍泉窯(りゅうせんよう)とは、中国浙江省の西南部に存在した名窯の一つ。 五代・北宋期にの流れを受け継いで青磁を製作していた窯元で、質の高い青磁を生み出し、中国国内のみならず、海外輸出も盛んにしていた。 日本にも鎌倉時代に …

島田 幸一

「青磁」のみを追求し続けた陶芸家・島田幸一さんです。 現在は、静岡県島田市で作陶活動を行っています。 島田幸一さんは陶芸家として美しい作品を数多く制作していますが、何よりも生き様に情熱・ロマンを感じます。 多くの有名陶芸 …

加藤 孝俊

「孤高の天才」「油滴天目の第一人者」と呼ばれた加藤孝俊さん。 代々染付磁器を製作する窯元「真玉園」の嫡男として生まれます。 家業の「真玉園」を継ぎながらも、48歳の時に、「中国宋時代の陶磁を再現」という夢を果たすため、長 …

愛新覚羅 溥佐

愛新覚羅溥佐は、中国清朝最後の皇帝にして満州国皇帝である愛新覚羅溥儀の、いとこにあたる人物です。その作風は、宋代以前の伝統的な中国絵画の手法を基礎としつつ、元朝以降の花鳥画の技法も取り入れ、特に細部まで描く動物や花鳥を得 …

柳 海剛

柳海剛(ユ・へガン)は、高麗青磁を復活させたことで有名な、韓国陶芸界を代表する陶芸家です。1894年、首都・漢城(現在のソウル)に生まれます。少年時代に目にした高麗青磁の美しさに惚れ込み、1911年頃から陶芸技法を本格的 …

黄君壁

黄君壁(黄君璧)は20世紀の中華民国を代表する書画家です。 広東州広州の裕福な家庭で育ち、幼い頃よりよく絵を描いていました。広東の公立学校を卒業し、画家の李瑶屏のもとで伝統的な中国画を学んだ後、楚庭美術院に入学し西洋絵画 …