黒井 一楽

黒井一楽は岡山県出身の虫明焼にて岡山県の重要無形文化財に認定された陶芸家です。
虫明焼とは岡山県瀬戸内市邑久町虫明の焼物であり、京焼系にて薄作り、高温焼成が基本となっております。陶土には水簸(すいひ)した細かい粒度の土を使用していることと乾山の絵付けを鉄釉にて制作しているのが特徴となっております。創窯は約200年前とされており、岡山県の筆頭家老である伊木山猿斎が京都より初代真葛長造などを招いて生み出した焼物であり、その優美な技は横山香宝や森香州へと受け継がれて黒井一楽にも受け継がれていきました。
横山香宝に師事し、虫明焼を学んだ黒井一楽は1980年に岡山県の重要無形文化財に認定されるなど数々の実績を残し、息子である黒井千左も同じ岡山県の重要無形文化財に認定されております。
後世の育成や虫明焼の魅力を伝えることに尽力した黒井一楽は後世に語り継がれる人物であることは間違いないでしょう。

玉置 保夫

玉置保夫は織部にて2008年に岐阜県の無形文化財に認定された陶芸家です。
岐阜県立陶磁試験場にて修行を積んだ玉置保夫は、5代目加藤幸兵衛や加藤孝造に師事し、1965年に日本伝統工芸展で初入選を果たすと本格的に陶芸家としての道を歩んでいく事になります。
その後、東海伝統工芸展を初めとした数々の賞を受賞した玉置保夫は2008年に織部にて岐阜県の重要無形文化財に認定される功績を残しました。
玉置保夫の作品は、玉山窯の4代目としての伝統を守りながらも作品の制作に新たなアプローチを駆使して様々な作品を制作しております。
玉山窯では様々な焼物を制作しておりますが美濃焼、黄瀬戸焼、織部焼といった焼物は全て出来栄えが良いことから評価が非常に高く、玉置保夫は茶道具界でも一目置かれた存在になっております。
織部焼のみならず、志野焼、黄瀬戸焼にも独自の物を追求し、革新的で美しい作品は多くの人々を魅了しているに違いないでしょう。

大谷 司朗

大谷司朗は信楽焼にて信楽町の重要無形文化財に認定された陶芸家です。
1936年に滋賀県に生まれた大谷司朗は1960年に京都市工芸指導所工芸技術者養成所に入所し清水九兵衛、松風栄一、内田邦夫に学びます。1961年に同所を修了した後は信楽陶器協同組合にてデザインと絵付けを研究します。
1963年に退所後、1964年に第二回朝日陶芸展にて初入選を果たしてからは数々の賞を受賞していき、1990年には信楽町の重要無形文化財に認定されたことから信楽焼の匠として一目置かれる存在となっております。
大谷司朗の代表的な作品としましては、信楽陽色花器、信楽花器、信楽壺などが挙げられ大谷は緋色を陽色と表現することが特徴的であると言えます。
黄瀬戸と呼ばれる長石や石英粒の混じった粗い信楽の土は、火色や灰被りといった景色が現れることから中世以降は特に陶芸家に愛されている土でありその土を使用した大谷司朗の作品は「まろやかな器形」と「明るい緋色」が表現されております。

船木 研児

船木研児は島根県出身のスリップウェアという技法を駆使した陶芸にて日本を代表する作家の一人です。
スリップウェアという技法は化粧土と泥漿(でいしょう)で装飾した陶器です。化粧土と泥漿とは、粘土を水で溶かして筆で模様を描いたりスポイトなどで絞り出せる状態のものをいい、ともにスリップという名称でよばれており化粧土は英語・フランス語・ドイツ語でエンゴーベ(engobe)と呼ばれております。釉薬には鉛釉という鉛を主原料にしてシリカ(二酸化珪素)を加えた釉薬が使われており、古代中国や中東、欧米諸国など世界各国で焼かれた陶器であり、バーナードリーチが19世紀に途絶えてしまったスリップウェアを甦えらせたことで知られております。
船木研児の作品は黄釉スリップ楕円鉢や黄釉蓋物等を制作しており、せいさくしている作品のいくつかは日本民芸館や倉敷民芸館にて展示されており、人や鳥、鹿や魚をモチーフにした作品を手掛けており、その作品は多くの人々を虜にしていることは間違いないでしょう。

勝城 蒼鳳

勝城蒼鳳は「竹工芸」にて国の重要無形文化財に認定された栃木県出身の竹工家です。本名を一二と言います。
1934年に栃木県の高林村(現在の那須塩原市)に生まれた勝城蒼鳳は15歳の時に父親に勧められて竹細工師の菊池義伊のもとで竹細工を学び始めました。1955年に独立した後も八木澤蒼玕(啓造)や斎藤文石の指導を受けるなどして技術の向上に励みました。1968年には八木澤蒼玕より蒼鳳の雅号を授かり、竹細工から竹工芸へと制作の道を変えていき、同年には日本伝統工芸展に初入選を果たした後も入賞を重ね、1983年には第30回日本伝統工芸展にて波千鳥編盛籃「渓流」が東京都知事賞を受賞し、後年には東京国立美術館の所蔵品となりました。
勝城蒼鳳の作品は生まれ育った栃木県那須塩原市の自然観が根底にあり、作品の制作にあたっては材料である竹を取るところから始まり、調整や編組組、漆塗りや染付といった作業を経て作品となっております。
日用品からオブジェに至るまで自然に対する尊敬の念をもっており、同じ作品を再度作ることを良しとせずに一つの作品に半年から一年かけることで作られる作品は多くの人々を魅了していることでしょう。

大澤 光民

大澤光民は「鋳金」にて国の重要無形文化財に認定された金工師で、高岡銅器の伝統的な技法である「焼造鋳造」に熟練しており、さらに「鋳ぐるみ」という独自の技法を確立させたことで世間から高く評価をされました。
鋳ぐるみとは鋳型に、銅線やステンレス線、白銅線などの異なる金属を配置し、溶けた銅合金を流し込み、異質な金属同士を包み込む技法です。
冷えて固まった後にヤスリやサンドペーパーなどで表面を磨きあげると、金属の線や点が文様として浮き出てくるのが特徴で、制作の過程では、鋳型の土くずれ、焼き方、地金の配合、融解温度の加減、異質金属の膨張具合の見極めなどが難しく、長年の経験と勘が頼りとなり、とても難しい製法となります。
大澤光民は高岡銅器の伝統の技術を受け継ぎながらも時代に合った作風や、自然の美しさをみずみずしく捉える感覚を大事にしております。銅線の赤は太陽を、白のステンレスは水をイメージしており、朝日や夕日の美しい景観や太陽と水が織りなす神秘的な造形を表現しているその作品は現在の人々に評価されていることでしょう。

大野 昭和斎

岡山県出身の国の重要無形文化財(人間国宝)に認定された木工芸師として有名な人物は大野昭和斎といえるでしょう。 1912年に岡山県の総社市に生まれた大野昭和斎(本名 片岡誠喜男)は14歳の時には指物師の父である片岡斎三郎に …

宇野 宗甕

中国五大名窯の釉薬研究と作品の制作に努めた陶芸家をご存知でしょうか。 それは、宇野宗甕です。 京都市に生まれた宇野宗甕は父が宇野仁松という同じく陶芸家であったことや幼いころより京都市立陶磁試験場に通って陶芸をしていたこと …

三代 山田 常山

三代山田常山は「常滑焼(急須)」で重要無形文化財に認定された人物です。 常滑(とこなめ)の時代は古く、日本六古窯の中でも最も古い歴史を持つとされており、その始まりは奈良、平安時代を代表する遠投の影響を受けて、十二世紀初頭 …

増村 紀一郎

増村紀一郎は2008年に「髹漆 」にて国の重要無形文化財に認定された東京都出身の漆芸家です。 「髹漆 」とは昔からある漆芸の技法であり、素地の材料を選ぶことから始まり、下地工程を経て、上塗・仕上げ工程に至る幅広い領域にわ …

室瀬 和美

室瀬和美は2008年に「蒔絵」で国の重要無形文化財に認定された漆芸家です。 1950年に東京都に生まれた室瀬和美は、同じ漆芸家であった室瀬春二の仕事を幼少から見て育ち、高校生の時に漆芸・蒔絵の道を志すようになります。東京 …

山下 義人

山下義人は「蒟醤」にて国の重要無形文化財に認定された漆芸家です。 1951年に香川県に生まれた山下義人は、高松工芸高校を卒業し、香川県漆芸研究所を卒業した19歳の時に生涯の師と仰ぐ磯井正美に師事し、蒟醤を学びます。その後 …

奥山 峰石

奥山峰石は1995年に鍛金の技術で国の重要無形文化財に認定された金工師です。 1937年に山形県に生まれた奥山峰石は、少年時代は芸能界に入りたいと思っておりましたが、日々の生活の為に洋食器を作る銀器職人である笠原宗峰に弟 …

中川 清司

中川清司は京都府出身の木工芸にて2001年に国の重要無形文化財に認定された木工芸家です。 釘などの接続金具を使用しないことで有名な京都の指桶物師の家庭に生まれた中川清司は三重県立松阪高等学校を卒業した後に父の中川亀一に師 …

中川 衛

中川衛は加賀象嵌に新しいスタイルを生み出し、話題となった金工師です。「彫金」にて国の重要無形文化財にも認定されております。 中川は1947年、石川県金沢市に生まれます。金沢美術工芸大学産業美術学科を卒業した後、大阪の松下 …

桂 盛仁

桂盛仁は2008年に「彫金」にて国の重要無形文化財(人間国宝)に認定された金工師です。 江戸時代初期より続いている彫金の一派である柳川派の流れを汲み、煙草入れなどの装身具で明治~昭和期にかけて人気を博した桂光春や二代豊川 …

原 清

鉄釉陶器の新たな表現を切り拓いた人物である原清は2005年に国の重要無形文化財(人間国宝)に認定されたの陶芸家です。 1936年に島根県斐川という現在の出雲市に生まれました。少年時代を過ごした出雲という土地は江戸時代より …

中野 孝一

中野孝一は「蒔絵」にて国の重要無形文化財に認定された漆芸家で、特に高蒔絵を得意とされております。 高蒔絵とは漆を何度も塗っては乾かしての作業を繰りかえすことで模様を作っていく技法で、塗り重ねる時に漆の厚さを変えたり、研ぎ …

玉川 宣夫

玉川宣夫は「鍛金」にて国の重要無形文化財に認定された新潟県出身の金工師で、鎚起銅器をベースとした木目金の技法を使った作品が評価されております。 鎚起銅器とは新潟県の燕市にて作られている銅器で江戸時代中期に誕生した伝統工芸 …

山岸 一男

皆様は山岸一男という人物をご存知でしょうか。 山岸一男は2018年に「沈金」の分野にて国の重要無形文化財(人間国宝)に認定された石川県出身の漆芸家です。沈金という輪島塗の加飾技法の会得に加え、沈金の一種で金の代わりに漆を …

北村 昭斎

北村昭斎は「螺鈿」にて国の重要無形文化財に認定された漆芸家です。 螺鈿とは漆工芸品の加飾技法のひとつで貝殻の内側の真珠層と呼ばれる光沢を帯びた虹色の部分を文様にして切り出し、漆地や木地などに彫刻した面にはめ込む技法で、奈 …

久世久宝

京焼の伝統的な作品を製作している陶芸家として有名な久世久宝という家元をご存知でしょうか。 京焼の伝統を踏まえながらも仁清写色絵付や染付、金襴手などの技法を持つ陶芸家で、当代が5代目となります。 初代久世久宝は1874年に …

佐々木 象堂

佐々木象堂は1960年に「蝋型鋳造」にて国の重要無形文化財(人間国宝)に認定された金工師です。 1884年に新潟県に生まれた佐々木象堂(本名は文蔵)は、貧しい家庭で育った為高校に通いながら商家に奉公しておりました。画家を …

前田 竹房斎

前田竹房斎は、主に堺で活動した竹工芸家の名跡です。明治初めから平成まで続き、初代と二代がおられます。 初代は1872年の大阪に生まれました。十代半ばには竹工芸家・三代早川尚古斎に才覚を認められ、独学で竹工芸を学びました。 …

長野 垤志

1900年(明治33年)10月28日~1977年(昭和52年)、愛知県生まれ昭和時代の釜師になります。初めは洋画家を志したが、鋳金に転じ、山本安曇ついで香取秀真に師事しました。1927年(昭和2年)帝展に初入選し、193 …