十六代永楽善五郎(即全)は、十五代永楽正全の長男として生まれ、5歳のときに十四代善五郎(得全)の妻・永楽妙全の養子となりました。1935年、父・正全の没後に十六代善五郎を襲名します。
作風としては、それまでの永楽様式を踏襲した作品が多く、金襴手、仁清写、祥瑞写、染付などを得意としました。特に、即中斎や淡々斎が好んだとされる作品を数多く残しています。また、子の紘一氏が十七代善五郎を襲名しています。
「仁清写」や「祥瑞写」の「写」とは、過去の優れた作品や作風をリスペクトし、再現・踏襲した作品を指します。単なる模倣や贋作とは異なり、技術や美意識を継承した創作の一形態です。
十六代永楽善五郎の作品の中でも特に高い評価を受けているのは、野々村仁清の様式を再現した作品です。また、千家との共同作品も高く評価される傾向にあります。
本作の茶碗は、表千家の即中斎による書付がある作品です。
仁清様式の特徴である卓越した轆轤(ロクロ)技術、余白の美しさ、繊細な絵付けが際立っています。加えて、箱書きが付属する品は、それ自体が真贋を証明する役割を果たし、市場でも高く評価される要因となります。
秋草の絵付は京焼の定番ですが、こうした点を踏まえ、今回の評価となりました。