今回ご紹介するお品物は、高木玉栄作 鵬雲斎書付『平棗』でございます。
高木玉栄は1860年創業の歴史を誇る名門塗師で、裏千家14代淡々斎より号を授かって以来、今日庵好みの茶道具を数多く制作してきました。精緻な職人技が生み出す美しさは、歴代家元や愛好家から高く評価されています。
本作『平棗』は、背が低く横に広がる端正な造形が特徴です。蓋を開くと繊細で豊かな「梨地(なしじ)」のきらめきが広がり、深みのある漆の表情と相まって息をのむ美しさを放ちます。意匠には栗や秋草など日本の秋の情景が繊細に描かれており、静けさの中にぬくもりを感じさせる日本美の魅力が凝縮されています。
茶道具における「書付」は作品の由緒と価値を証明する重要な要素です。本作は共箱に裏千家15代家元・鵬雲斎宗匠の書付が添えられているだけでなく、棗の蓋裏にも鵬雲斎宗匠の花押が確認できました。作品・保存状態ともに誠に良好であったため、こちらの評価とさせていただきました。