浜田 知明

浜田知明は、日本の版画家・彫刻家です。1917年に熊本県で生まれ、2018年に100歳でこの世を去るまで、多くの作品を残しました。若い頃、戦争の影響を大きく受け、20代の大半を軍隊で過ごした経験から、戦争の悲惨さや残酷さをユーモアを交えながら作品を通して訴えました。

浜田知明は16歳で東京美術学校(現在の東京芸術大学)油画科に飛び級で入学しました。しかし、戦時色の強い時代であったため、画家として本格的に活動を始めたのは太平洋戦争後になります。

1950年、32歳の時に駒井哲郎や関野準一郎らと交流しながら、銅版画の制作に本格的に取り組みました。自身の戦争経験を基にした『初年兵哀歌』シリーズを描き、このシリーズは日本国内のみならず海外でも大きな反響を呼びました。その後、浜田は海外での受賞を経て、国際的に活躍するようになります。

浜田知明の作品は、戦争に関わる人々の悲しみや社会の不条理、人間心理の暗闇といった深刻なテーマを、自身の風刺を交えつつ、エッチングならではの冷たい色調で表現しています。しかし、悲しみや無念さだけでなく、ユーモラスな要素も取り入れながら、そこに人間への深い愛情が込められている点も特徴です。

 

橋口 五葉

口 五葉は、明治末から大正期にかけて活躍した装幀家・版画家です。

1881年、鹿児島県にて薩摩藩藩医で漢方医を務めた士族・橋口兼満の三男として生まれました。
幼少期から絵に強い関心を示し、はじめは狩野派の絵を学びます。
1899年に画家を志して上京し、日本画家・橋本雅邦に師事。
その後、東京美術学校西洋画科に進学し、1905年に首席で卒業しました。

同年、兄の紹介で夏目漱石と知り合い、『吾輩ハ猫デアル』の装幀を依頼されます。
以降『行人』まで漱石の本の装幀を数多く手掛けました。
また、森鷗外谷崎潤一郎泉鏡花などの文学作品の装幀も担当しています。

1911年には「此美人」が三越呉服店の懸賞広告図案で第1等を受賞。
その後は新版画運動に参加するとともに、浮世絵の研究・複製・復刻にも取り組みました。

1920年からは大判の美人画や風景画を制作し始めますが、翌年に中耳炎から脳膜炎を併発し、41歳の若さで亡くなります。

西洋画と浮世絵を融合させた独自の作風は、日本美術に新しい風を吹き込みました。
短命ながらも、装幀・口絵・新版画の分野において大正文化を象徴する存在として今も高く評価されています。

代表作には『髪梳ける女』『黄薔薇』『孔雀と印度女』などがあります。

新海 誠

新海 誠は、世界的大ヒットを記録した『君の名は。』をはじめとしたアニメーション映画を代表する監督として知られています。

長野県で代々建設会社を営む家に生まれ、幼い頃からSFや宇宙に関心があった為「アーサー・C・クラーク」などの著書を好んで読んでいたそうです。

大学卒業後は実家を継ぐことなく「日本ファルコム」というゲーム会社に勤め、
2002年には自宅のパソコンを使い一人で作り上げた短編作品『ほしのこえ』で多数の賞を受賞し、デビューを果たしています。

デジタル技術を駆使した繊細で鮮やかな映像、風の動きや音、景色の変化など空間全体を使った心理描写、詩的な表現が特徴的です。

自然災害など社会的なテーマの作品も多く、常に変化し続ける現代に生きる私たちが触れることで自分事として捉え、深く考えることができるのではないかと感じます。

見る者の心を打つ彼の作品は国内外問わず高く評価され続けています。

代表作には『天気の子』『すずめの戸締り』『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』などがあります。

代表作の背景画のファインアート等は、二次流通でも人気のあるコレクションとなります。

鈴木 那奈

鈴木那奈(すずき なな)は、日本の洋画家です。京都芸術大学(旧・京都造形芸術大学)にて学び、大学院でも洋画を専攻しました。

繊細な筆致と色彩で、女性の内面性を静かに描く詩的な世界観が特徴です。

女性をモデルに、現代を生きる女性の「しなやかな美」や「孤独」を描く視線がを大切にし、油彩で多色を混合して独自のモノトーンの色調を作り出す手法を採用しています。
また、花のモチーフも多く扱っております。

展覧会「光ゆれる」では、自然光にこだわりながら、少女の内面に揺れる繊細な感情や希望、喜びと悲しみ、光と影といったテーマを約30点の油彩作品で表現しました。

佐田 勝

佐田 勝は、ガラス絵の普及に大きく貢献した画家として知られています。

1914年に長崎市に生まれ、幼少期は台湾、熊本、和歌山、北海道、姫路、東京などを転々として過ごします。

東京美術学校油画科に入った佐田は、洋画家の藤島武二に師事しました。
卒業後は、福沢一郎を中心とした美術文化協会の結成参加、美術グループ「同時代」の結成・解散を経て、無所属になった後も作品を作り続けました。

1951年には日本ガラス絵協会を創立し、代表を務めています。

佐田は、花や鳥など自然のモチーフを中心に描きました。
力強い輪郭線と鮮やかな色彩が印象的で、ガラス絵特有の透明感や艶を楽しむことができるのも魅力の一つです。

代表作には『野霧』『デイゴ 沖縄の家』『ギボウシ・キジバト』などがあります。

野々内 良樹

野々内良樹(ののうち よしき)は日本画、特に花鳥画を得意とし、日展会員として幅広く活躍した作家です。 

父は日本画家の 野々内保太郎、次男の井上稔・三男の野々内宏も画家として活躍した、日本画の伝統を受け継ぐ芸術一家です。

花鳥画や小禽(小さな鳥)を多く描いたことで知られ、柔らかで上品な筆致と写実性の高い自然観察眼が特徴です。

自然への観察を深く反映した色彩感覚と表現力が高く、日展での受賞と審査・委嘱歴外務省買い上げなど国内で高い評価を獲得し、京都伝統の花鳥画を現代に伴う優雅で透明感あるスタイルに昇華しました。

さらに自身も審査員・指導的立場に立ち、多くの回顧展や美術館所蔵を通じて、後世にその画業を伝えています。

菅野矢一

菅野矢一(すがの やいち)は、山形出身の洋画家で、日本芸術院会員。初期は人物画を多く描いたものの、後に風景画へと主題を変え、海や山などの大自然を鮮明な色面で表現する“清新な画風”で知られています 。 人物画から大自然の風 …

伊藤 晴子

油彩で花や静物画を描くことが主流の伊藤氏は、主に陽光溢れるタッチ感で、優しさと美しさを併せ持った作風が特徴的です。 1944年東京都出身で、大学卒業後は父・伊藤清永に師事し、翌年にはイタリア国立ミラノ・ブレラアカデミーに …

道原 かつみ

道原 かつみは、広島県出身の漫画家・イラストレーターです。 SFをはじめとするファンタジー要素の強い世界観を得意とし、繊細さと力強さを兼ね備えた美しいキャラクター表現で高い人気を誇っています。 道原は、中学3年生の時に同 …

高橋 宣光

高橋 宣光は、東京出身のアーティストで美人画を得意としています。 1966年に東京で生まれ、父親はカメラマン、母親は女優という家庭で育ちました。 学生時代から様々な画風で女性や仏像などを描いており、17歳で池袋西武百貨店 …

俵屋 宗達

俵屋 宗達は、江戸時代初期の京都で活躍した絵師です。 彼の生涯は謎に包まれており、交流のあった文化人の情報などから、1570年前後に生まれたと考えられています。 宗達は、金箔や銀箔を用いた装飾性の高い華やかな作風で知られ …

国吉 康雄

国吉 康雄は、アメリカを代表する日本人画家として知られています。 1889年に岡山県で生まれ、16歳のときに単身で渡米。 鉄道車庫の掃除やホテルのボーイなど様々な仕事をしながら美術学校に通いました。 1917年には展覧会 …

山本 靖久

1963年神奈川県出身の山本氏は、1987年に武蔵野美術大学卒業後、銀座大賞展 大賞受賞を皮切りに様々の賞を受賞しました。また、1995年には上海美術館にて作品の展示も行われています。 現代的な「豊かさ」とは別に、肉体的 …

工藤 和男

1933年大分県出身の工藤和男は、幼少期よりモリを片手に海へ出て魚を獲って遊んだり、絵を描いたりすることが好きでした。その影響で武蔵野美術大学を卒業後には日展や創元展などで様々な賞を受賞しました。 工藤氏が描く作品は、幼 …

塚本 馨三

塚本 馨三は、静岡県出身のイラストレーターです。 1969年、週刊誌『平凡パンチ』でイラストレーターとして活動を開始し、芳文社・集英社・旺文社・秋田書店などで幅広く仕事を手掛けました。 レコードジャケット、絵本、CMの背 …

牧野 邦夫

10代の頃からレンブラントへのあこがれを持ち続け、その影響を色濃く受けた圧倒的な描写力で61年の生涯を駆け抜けた牧野邦夫の作品は、その描画力が評価され近年では注目度を高めつつあります。 1925年に東京で生まれた牧野は、 …

ベルト・モリゾ

ベルト・モリゾは印象派の女性画家として知られています。 モリゾは、1841年にフランスのブールジュにて生まれました。 20歳でバルビゾン派のジャン=バティスト・カミーユ・コローに師事し、戸外での制作をはじめました。 18 …

エドガー・ドガ

エドガー・ドガは、印象派の代表的な画家として知られています。 一般的には印象派の一員とされていますが、戸外制作を好まず古典的な技法を重んじるなど、他の画家とは一線を画す存在でした。 1834年、ドガはフランスで銀行員の家 …

エドゥアール・マネ

エドゥアール・マネは、印象派の先駆けとして知られる画家です。 「見たものをそのまま表現すること」が大切だと考え、新たな様式を確立しました。 明るい色彩と明確な輪郭、平面的な構成が特徴です。 マネは、1832年にパリの裕福 …

斉白石

斉白石は中国湖南省出身の近代中国絵画を代表する巨匠です。 木工職人として生計を立てる傍ら独学で書がを学び、清朝末期から中華民国、さらに中華人民共和国の時代を生き抜きました。 花鳥図、魚、蝦、蟹、昆虫、野菜などい身近な題材 …

クロード・モネ

クロード・モネは、印象派の代表的な画家です。 同じモチーフを同じ構図で、気候・季節・時間を変えて描いた『睡蓮』などの連作で知られています。 また、「印象派」という名称は、モネの代表作『印象・日の出』に由来します。 モネは …

横尾 忠則

横尾 忠則は、兵庫県出身の画家・グラフィックデザイナーです。 力強く個性あふれる作風により世界的に高く評価されています。 1936年、兵庫県に生まれ、2歳で呉服商を営む叔父夫婦の養子となりました。 幼少期から数多くの「超 …

日高 蔀

日高蔀は、鹿児島県種子島出身の画家で、1931年に生まれました。 1952年に鹿児島大学教育学部教員養成科終了後、1962年二科展に初入選します。以後連続入選され、1971年に渡欧したのち1976年ル・サロン金賞受賞しま …

斎藤 要(斉藤 要)

斎藤要(さいとう かなめ)は兵庫県出身の画家で、主に描いている作品は油彩による都市風景画が中心的です。 1973年にデザイン学校にて学び、後に川田茂先生に師事します。 1977年には現美展の新人賞受賞を皮切りに様々な賞を …