任頤『人物画 掛軸』

本作は、清末に活躍した中国の画家「任頤（任伯年）」が手掛けた人物画です。

任頤は、花鳥・人物・山水画を得意とし、上海を拠点に活動しました。
中国の伝統に西洋絵画の要素を融合させ、新しい画風を確立したことで知られています。海上派の蒲華、虚谷、呉昌碩とともに「海派四傑」と称されました。

本作では、崖の上から何かを見つめる男性の姿が描かれています。
眼下に広がるのは、川や生き物、あるいは人々の暮らす集落かもしれません。
墨の濃淡を巧みに用いることで、岩の立体感や草木の質感が生き生きと表現されています。背景は簡素ながらも、穏やかな景色の広がりを感じさせます。

繊細で軽やかな空間表現と、後ろ手を組み、考え事をしているかのような男性の姿との対比が印象的な一作です。

中国の人気画家であり、人物画であることを考慮し、本作は上記の査定結果となりました。