本作は、奈良に伝わる伝統的な木彫工芸「奈良一刀彫」による雛人形です。
奈良一刀彫は、ノミによる力強い彫り跡を活かした素朴な造形が特徴です。木材を大胆に削り出して形を整え、仕上げに胡粉や岩絵具で彩色を施す技法が用いられます。題材には雛人形をはじめ、能楽の人物、干支、神仏などが多く見られます。
本作は四段構成で、最上段には男雛と女雛、その下の段に三人官女、さらに下の段には五人囃子が配されています。最下段には随身と仕丁のような五人の人物が並び、雛飾りの賑やかな情景が表現されています。
柔らかな木の風合いや鮮やかな色彩、奈良一刀彫特有の彫り跡、一人一人異なる表情や雰囲気が魅力的な味わい深い作品です。
全体のサイズ感や工芸品としての美しさ、保存状態や市場における需要などを総合的に考慮し、本作は上記の査定結果となりました。