今回ご紹介するのは、アール・デコの巨匠として知られるエルテのブロンズ彫刻《Stranded》です。
本作は、荒波に囲まれた岩礁の上に静かに佇む薄衣の女性を主題とし、その背後には大きくうねる波が優雅な曲線を描いて広がります。足元には二匹の金色の魚が波間から躍り出るなど、自然と人物が一体となった幻想的な世界観が巧みに表現されており、エルテならではの優美で物語性豊かな造形が魅力の作品です。
金色に施された着色仕上げと黒みを帯びたベースとの鮮やかなコントラストは、作品全体に気品と華やかさを与えています。植物や波、人体を流れるような曲線で一体化させた造形には、アール・デコ様式特有の装飾美が色濃く表れており、どの角度から眺めても美しいシルエットを楽しむことができます。
底部にはエルテ自筆のサインに加え、「©1988 CHALK & VERMILION AND SEVENARTS」の鋳造銘およびエディションナンバーが刻まれており、米英の名門出版社によって正規に制作・管理された限定版ブロンズであることが確認できます。作品の真贋や来歴を裏付ける重要な要素であり、高いコレクション性を備えた一作といえるでしょう。