草間彌生は1929年長野県生まれの前衛芸術家で、幼少期からの幻覚を原点に、水玉や網目をモチーフとした絵画や立体作品を制作しています。
本作は、1999年に発表された立体作品(マルチプル)です。素材にはブロンズやセラミックなどが用いられています。手作業で形作られた柔らかな形状に水玉のような穴のモチーフが刻まれているのが特徴で、裏面には「KUSAMA 1999」の刻印が施されています。
現代では『かぼちゃ』のような鮮やかな色調の作品が多く見られますが、以前は死をテーマとした暗い色調の作品やコラージュを多く手がけていました。本作もその当時の精神世界を反映しており、作家自身のトラウマや神経症から生じる死への衝動、内面の葛藤を投影した象徴的なお品物といえます。
箱の無いお品物であったこと、また作品状態を考慮し今回の評価とさせていただいております。