楽一入は、千家十職の一つである楽家の四代目で、千家好みの茶碗を手掛けた茶陶の名工です。黒釉の中にほのかな赤みが浮かび上がる「朱釉」を完成させたことで知られ、その独特の釉調は一入の作品を特徴づける魅力の一つとなっています。
本作は、寺院の伽藍を支える柱の基礎石である「伽藍石」を模した香合です。一入ならではの深みのある黒釉に、釉下からほのかに浮かび上がる赤みが美しく調和し、落ち着きの中にも奥行きを感じさせる豊かな表情が魅力の一品です。
また、付属する木箱は、楽家十代・旦入による識箱であり、本作の伝来を考えるうえでも重要な要素となっています。
今回は、一入の作品であることに加え、旦入による箱書きが付属していること、ならびに作品の状態を総合的に考慮し、こちらの評価とさせていただきました。