同田貫

同田貫(どうだぬき)とは室町時代から活躍する刀工の一群です。

九州肥後国菊池の同田貫という地名に本拠地を置き、加藤清正のお抱えであったと伝えられています。

同田貫の刀には装飾をいくど施さず質素な作柄の出来の物が多いです。

名工の作品も多数存在し高価ではありますが、美術的価値(鑑賞)においての評価は低いです。

「折れない、曲がらない」をうたい余分な物は省き頑丈な造りで叩き切る。

まさに剛刀と呼ぶに相応しい刀工の一群です。

 

そして同田貫にはその”強靭さ”を示す有名なエピソードがございます。

それは明治天皇の前にて行われた天覧兜割りです。兜に刀を切り込むのですが何人もが兜に弾き返され敗れる中、最後に登場した榊原健吉が握る同田貫で挑んだところ見事に兜の切り込みに成功。

このエピソードもまた同田貫の強靭さ世間に知らしめることとなりました。

着飾ることのない、決して派手な刀ではございませんが頑丈さ強さに振り切ったスタイルは今でも刀剣収集家の中でも人気の高い刀です。

 

 

篠原 如雪

篠原如雪(しのはら じょせつ)は福岡県生まれの漆芸作家です。

1919年福岡県に生まれ漆工芸が盛んな香川県の高松市で育った影響もありいつしか木彫漆芸家を志します。
木彫漆作家で有名な鎌田 稼堂(かまだ かどう)に入門し、木彫彩漆の技法をはじめます。1957年、日本伝統工芸展の漆芸部に出品、初入選を果たすと1963年には日本伝統工芸展の木竹部においても入選を果たします。

1977年からは古美術研究のために東南アジア、ヨーロッパの各国を巡ります。
1983年にフランス美術展へ出品しモンタネ賞を受賞し世界からも注目を集めます。

1986年には国内的・国際的にも多大な功績があると認められた方に贈られる国際芸術文化賞を受賞しました。

作品としては、棗や香合を多く制作しており昆虫や草花を立体的に表現していることからコレクターの方に非常に人気の高いお品物を制作しておりました。

舟木 誠一郎

舟木誠一郎は東京生まれの画家で、女性の美しさをモチーフにした人物画に長けた作家です。最近美術業界では話題に上がり評価が高くなっている、リアリズム、写実性を重視した、写実絵画の分類の作品を描く作家です。

基本的に描く作品は女性がモデルの作品になります。その中には裸婦画もありますが、女性の肌の質感、眼差し、手や髪や表情などを細かく描き外面的な美しさとにじみ出る内面的な美しさを表現しています。舟木誠一郎の作品を一言で表すとやはり「美」になると思います。

冒頭で写実性の高い作品をとお話させていただきましたが、舟木誠一郎が作る作品の中には写実的な人物画に更に加筆した作品もあります。「沈黙」という作品がそれにあたるのですが、その作品には美しい女性の背中から美しい白い羽根が生えており、幻想的な雰囲気を醸し出しています。このような作品は写実絵画とは異なった作品に分類されてしまいますが、絵の中の女性は美しく幻想的で物語に出てきそうな雰囲気を漂わせています。

このように写実性の高い女性画と、物語性のある幻想的な女性画を描いており、どちらも「美」を大事にした美しい作品です。昨今の写実性ブームと相まって舟木誠一郎の作品は人気が高いです。

林 喜市郎

林 喜市郎(はやし きいちろう)は50歳を過ぎてから画家デビューという異色の経歴を持った洋画家です。

林喜市郎は1919年、千葉県野田市に生まれます。
1946年にシベリア抑留(よくりゅう)を経験し、敗戦後、日本に戻り画家を志すようになります。

幼少期に生まれ育った千葉の故郷等を主題に、様々な風景画、主に民家を描く事で知られ、全国の民家を訪ね歩く事により、日本固有の藁葺(かやぶき)文化を世界に伝え浸透させるために活動を始めました。
数ある作品の中でも、山梨県忍野村風景が大多数を占めており、優美性と写実性に富んだ独特の技法で絶大な人気を得ました。

中でも 様々な風景画、民家を描く事で知られる画商、寺西進三郎(てらにし しんざぶろう)に認められ、約30年間に及ぶ全国の藁葺民家の取材旅行からは、今となっては、ほとんど消え去りつつある日本の原風景を再発見するとともに、「失われた民家百景」シリーズとして制作するに至ります。

愚直に生涯のライフワークとして民家を描き続けたことにより、繊細で日本の原風情を表現する作風が高く評価され、1970年に全国勤労者美術展都知事賞を受賞。後に一水会展に入選した後、4回に渡り入選し、併せて日伯現代美術展入選も果たします。
また、作品の集大成として1981年自叙伝「民家を描く12ヶ月」を刊行しました。

ダニエル・ボネック

ダニエル・ボネックは1955年にフランスで生まれ現在も活動なさっておられる画家です。兄のアラン・ボネックも画家であり、二人は画風が一致からボネック兄弟の名前で個展を開くなど兄弟で精力的に活動しています。

絵の特徴として色彩豊かで植物が必ずと言っていいほど描かれており、人物も可愛らしく明るい表情の全体の雰囲気の明るい絵が多いです、また幻想的な風景を基本としており童話の世界のような絵が特徴的です。

主な活動、活躍としてはフランスを初めとして、ヨーロッパ各国・アメリカにて、多くの展示会が開催されています。またフランス大蔵省が絵を限定版のコイン、メダルに採用、1990年にユニセフが絵ハガキに採用したりと多くのメディア、国際的に注目を浴びています。

 

須賀 月真

須賀 月真(げっしん)は1919年に生まれます。

故須賀松園(国指定無形文化財保持者)に師事し蝋型鋳造の業に従事しました。
数多くの個展を開き、入選しており、1990年には、蝋型鋳造部門で、高岡市伝統工芸産業技術保持者に認定されています。

蝋型鋳造とは、蝋の特性を生かした鋳金の一技法として、古くから発達し、
飛鳥、奈良期の小金銅仏の製作を始めとして広く使われてきました。
蝋型鋳造法が他の技法に比べてすぐれる利点は、蝋製原型は細工がしやすく、複雑な形態の鋳物造りに適することが出来るという事です。
 また、原型の風合いの良さが鋳型を通じて鋳物にも転写されるため、艶やかな鋳肌が得られるところです。

 

櫃田 伸也

櫃田 伸也は東京出身の油彩画家であり、愛知県立芸術大学、東京藝術大学で教授も務めました。 1941年の東京都大田区で生まれ、64年に東京藝術大学の美術学部油画専攻を卒業します。66年には東京藝術大学の大学院を卒業し、同大 …

小林 東吾

小林東五は「李朝陶器の第一人者」として有名な陶芸家です。 小林東五は1935年、京都にて小林全鼑(こばやしぜんてい)の長男として生まれました。 父である小林全鼑は雲道人と名乗り、異色作家であり、僧でもありました。 小林東 …

藩 天寿

潘天寿は中国・浙江省寧波市に生まれた画家・美術教育家です。幼少期から書道、絵画、切手彫刻などに興味を持ちます。特に書道と絵画に熱中し生涯をささげる決意をしたほどでした。 学政時代は成績も優秀で、卒業後は教師として小学生を …

木村玉舟

木村玉舟は岡山県出身の陶芸家です。幻の備前焼と呼ばれる白備前を長きに渡り研究されております。毎年干支の置物の制作に取り組まれており、中でも鉄分の少ない土を焼しめることにより作り出される白備前の作品は多くの方から支持されて …

西村 計雄

西村計雄さんは1909年の北海道出身の画家です。 幼少の頃から画家になることを志し、1929年に東京藝術大学に入学をしました。同期として岡本太郎さんや東山魁夷さんがいます。 この頃は家族をモチーフにした作品を手掛けており …

加藤 春岱

加藤春岱(かとう しゅんたい)は幕末、瀬戸赤津村の陶工です。 1802年瀬戸の窯屋に生まれ、名を宗四郎と言います。 早くから才能を開花させ、15歳にして父・景典(春山)の跡をつぎ、御窯屋に列しています。 御窯屋(おかまや …

長運斎綱俊

1798年(寛政10年)に生まれる。 父は加藤和泉守国秀でその三男として生まれ育ち、出羽国米沢藩主上杉家の藩工となる。兄に山形藩工の加藤綱秀がいる。 水心子正秀に師事したとされ、その後江戸に移住して修行し、さらに大阪に上 …

坂倉 新兵衛

坂倉新兵衛は山口県長門市深川にある萩焼の窯元です。萩焼は慶長(1592年~1598年)の折、毛利輝元公が朝鮮李朝の陶工、李勺光、李敬を日本に招いたことによって始まったと言われております。 半世紀後に、李勺光の子である山村 …

月形 那比古

月形 那比古は鬼志野創始者であり、「炎の陶工」と謳われた日本の陶芸家です。 1923年、新潟県糸魚川市に専業農家の5人兄弟姉妹の三男として生まれます。 父は石刻匠で母は華道家という家庭環境でしたが、5歳の時に不慮の事故で …

伊勢崎 満

伊勢崎 満は、岡山県重要無形文化財保持者であり、伊勢崎淳(人間国宝)の兄です。 1934年岡山市備前市に岡山県重要無形文化財の細工師であった、伊勢崎陽山の長男として生まれました。 岡山大教育学部特設美術科を中退後は、家業 …

河井 武一

河井 武一は河井寛次郎の甥であり、寛次郎の一番弟子です。 武一は1908年島根県安来に生まれ、1927年寛次郎の元にて陶磁器の修行を開始します。 寛次郎の窯元へ修行に来ていたバーナード・リーチと共に作陶活動をしていました …

大淵 光則

大淵 光則は富山県出身の金工作家です。非常に細かい部分まで表現された作品が多く、発表のたびに驚嘆の渦を巻き起こしてきました。 大淵光則は1932年に富山県に生まれます。1948年に金工業界の名門である早川徳太郎氏に師事し …

服部 峻昇

服部峻昇は京都を代表する漆芸家です。 1943年の京都に生まれ、高校の美術工芸漆芸科にて漆芸を学びました。 1964年には塗師の上原清に師事し、翌年には漆芸家の浦省吾に師事しています。工芸展などで数々の賞を受賞しながらヨ …

清風 与平

初代 清風 与平 清風 与平は江戸から続く京焼有名な陶芸一家です。初代清風与平は京焼で有名仁阿弥道八(2代高橋道八)に師事したと言われており、染付(青華)、白磁、色絵、乾山を非常に得意としておりました。文政初年に道八の命 …

高橋 草坪

高橋草坪は日本の文人画家です。 文化元年頃に現在の大分県杵築市の商家・槇屋(高橋氏)休平の次男として生まれました。 本名は雨、字は草坪、元吉、通称は富三郎と言い、草坪はその号で、他に草坪寒民、草坪間人、草坪逸人などと号し …

大綱 宗彦

大綱宗彦は江戸時代後期の臨済宗の僧侶です。 安永元年京都に生まれ、6歳の時に大徳寺黄梅院、融谷宗通の下で得度を受け臨済宗大徳寺派の僧侶となりました。 臨済宗は仏の道を説くとともに茶の湯や書画をたしなむことを奨励した宗派で …