愛新覚羅 溥傑は、清・満洲国の皇帝である愛新覚羅溥儀の同母弟です。
ラストエンペラーの実弟として、波乱万丈な生涯を歩みました。
皇帝一族である愛新覚羅家は、その政治的・歴史的な役割のほかにも書家として高名です。
書の格と政治的な格とが繋がる文化を背景に、各々が一族の上の存在から書を学びました。またその後生涯において政治的な活動を行う上で、書を記す行為はずっと続いたことでしょう。
その取り組みの中で、それぞれの型が醸成され評価されるものとなりました。
愛新覚羅溥傑の書は、流れる水のようなフォルムが特徴的です。
溥傑の遺した書をもとに、『相依為命体(そういいめいたい)書体』としてフォント化もされております。
溥傑は波乱曲折の人生を得て、日中友好に大きく貢献しその生涯を閉じます。
一言では言い表せない壮絶な人生のなかで、その美しいどこか淡々とした風情の書を書き残した愛新覚羅溥傑。その作品は、氏の人生や歴史を感じることによって、より一層想い深く鑑賞されるものでしょう。