1952年に石川県輪島市で誕生した北村辰吉は、1973年頃に輪島漆器の製作を行うようになると、現代の技法に限らず古典の技法の研究も行い、技術力の向上を図りました。1985年には北村工房を設立し、着実に活躍の幅を広げていきます。
1986年には印籠制作を開始し、この頃から海外でも個展を行うなど、国内外で活動をより活発化していきます。
細密な技法から織りなす圧倒的表現力を生み出す北村の作品は、現代技法の中に垣間見える奥深い伝統性のある技法も見ることができる作風が特徴的です。
一度見ると忘れられないようなどこか力強さも感じられる表現力は唯一無二とも言えるでしょう。
1919年に初代が漆器製造を生業とし、以降現在に至るまで高品質で美しい国産漆器の製造・販売に注力しています。
創業以来「自分の目にかなった商品を出していく」という考えの元で製造された慶塚製漆器は、本物の輪島塗の伝統技法を守り、上塗りには国産漆を使用している為、信頼のあるブランド力はもちろん、上品で馴染みが良く、光沢や強度も比較すると一段と異なることが特徴的です。
注文を受けて製造する為、手間と時間がかかりますが、確かな伝統技術と信頼ある製品造りと、何よりも創業当初から受け継がれた工房の強い信念がより実感できる、満足度もぐっと高まるブランドとして、注目度は高まっています。
初代一斎が「一斎」の号を茶道宗家宗偏流家元より受け、現在三代目と、輪島初の茶道具専門の塗師として今でも時代と高い技術力が受け継がれています。
特徴的なのが、蒔絵と金彩の豪華さは勿論ですが、そこから見える細かな技術が行き渡っている重みのあるデザインが一斎らしいところかと言えます。余すことなく魅せる各作品は、高い評価を得ています。
輪島塗に対する愛ある一斎の感性は、その精密度が高い技術力で作り出す漆器を通して日本のみならず、世界からも注目され、二代目一斎からは海外での活動も積極的に行っております。
2013年に二代目が死去、現在は三代目が継承し、約70年以上作品に対する想いと技術が今も継承されています。
原 羊遊斎は、華やかな作風で知られる江戸時代後期の蒔絵師です。
伝統的な技法と独自の美意識を合わせた、緻密で洗練された蒔絵作品を多数制作しました。
1769年に江戸に生まれ、蒔絵師の「鶴下遊斎」に師事し、蒔絵を学びました。
20代後半になると、腕を買われて藩主の御用品を多く手掛けました。
彼の生涯については不明な点も多く、1845年、または1846年に亡くなったとされていますが定かではありません。
谷文晁や大田南畝などの文化人とも交流があったとされています。
彼の作品は、東京国立博物館など多くの博物館や美術館に収蔵されています。五島美術館で開催された展覧会では、蒔絵茶箱、印籠、根付、蒔絵櫛など、多彩な作品が展示されました。
代表作には『桜紅葉蒔絵重香合』『蔓梅擬目白蒔絵軸盆』『梅木蒔絵印籠』などがあります。
千宗左而妙斎は、茶道表千家十四代家元です。
表千家とは、千利休を祖とする茶道流派の一つです。裏千家・武者小路千家と共に茶道三千家とも呼ばれる、茶道では大変有名な流派となります。
而妙斎(幼名:岑一郎)は1938年、そんな表千家の十三代家元・即中斎の長男として生まれます。
1967年に大徳寺の方谷浩明老師から「而妙斎」の斎号を与えられて、宗員となりました。1980年の先代・即中斎の逝去に伴って、翌年1981年に表千家家元十四代宗左を襲名します。1990年の利休400年忌を迎えるにあたっては而妙斎が亭主となり、三千家合同でお茶会が行われました。
2000年には芸術文化分野において優れた業績を残した者に与えられる紫綬褒章を受章します。
その後2018年に長男・猶有斎に家督を譲り、自身は隠居します。昭和から平成にかけて表千家を発展させた方として、広く名が知られております。美術品だと、茶道具の書付などで見かける場面が多いかもしれません。
荒井正春は、福井県で三代続く蒔絵師の名跡です。
初代より当代まで相伝された蒔絵技法は、際立つ漆と金の美しさをもっており、古くからある伝統的な茶道具に古典的な技法ながらも新しい風を吹き込む先進的なモノづくりが特徴となっています。
初代荒井正春は大正13年に生まれ、幼少期から漆器に触れて育ちます。終戦後に本格的に漆器作成に取り組み始め、昭和22年には向井秀峰に入門しさらに技術を磨いていきました。蒔絵の指導を受けてからは蒔絵一筋に取り組み、茶道具の蒔絵技師として活動していきます。
蒔絵活動の傍らに自身の経験を活かして高級漆器の卸商としても活動し、昭和32年に「荒井正直堂」を創業しました。
二代は昭和27年に生まれ、昭和45年に初代荒井正春に蒔絵の指導を受け茶道具の蒔絵や棗に蒔絵を施し技術を磨き続けました。平成元年に「正春工房」として生まれ変わり、木地、下地、中塗、上塗、蒔絵と全て部門分けを行います。
一つ一つの工程の技術を高めそれらを結集させた妥協を許さない優れた作品を作り上げていました。
三代(当代)は昭和51年に生まれ、二代に師事し蒔絵技術を習得します。そして、平成30年に荒井正春を襲名しました。年代で見るとついこの間に襲名したばかりですが、初代から続く蒔絵技術をしっかりと継承し、荒井正春の名を感じさせる蒔絵の茶道具を作られております。