倉田 冨美は、1937年に京都で生まれた日本画家です。
日本画家の丸山石根に師事し、日輝展では金賞2回、特選1回を受賞しています。
人物画を得意とし、舞妓を題材に多数の作品を手掛けました。
舞妓は15歳~20歳頃の芸子見習いの女性を指します。
まだあどけなさの残る少女たちが芸を覚え、少しずつ成長していく姿は美しさとともに奥ゆかしい日本の美意識が感じられます。
舞妓が芸妓になることを「衿替」を呼び、その直前の約2週間は「先笄」という髪型になります。この期間だけ見られる貴重な姿を描いた作品は、人気作のひとつとなっています。
また、表情だけでなく、年数で変化していく髪型や着物、化粧などに目を向けるとまた違った視点で楽しむことができます。
京都の風情と伝統を映し出す倉田の作品は、女性を通して静かに語りかけてくるようで、雅な空気感を繊細に表現する作風は高く評価されています。
代表作には『先笄』『舞妓』などがあります。
あいはら 友子(旧芸名:原田真弓・相原友子)は、女優・画家として知られています。
1954年に兵庫県に生まれた彼女は、勉強もスポーツも苦手な子供でした。
しかし、小学3年生の頃にあった交通事故をきっかけに、様々な分野で才能をみせるようになったそうです。
大学時代には、アーチェリーで全日本第3位まで上り詰め、モントリオールオリンピック強化メンバーとなりました。
大学卒業を機に「原田 真弓」の芸名で特撮番組などに出演し、1978年に放送された連続テレビ小説「わたしは海」のヒロイン役でデビューを果たします。
バブル期には株式に詳しいことから「財テク女優」と呼ばれ、経済界での講演・キャスター・雑誌の連載など幅広く活躍しました。
また、高野山真言宗の僧籍を取得するなどしています。
縁起物として知られる赤富士を中心とした日本画を多く手掛け、組み合わせるモチーフによって異なるテーマを持たせています。
人々の幸福を願う気持ちが込められた作品は、開運アートとして多くの人に愛されています。
代表作には『赤富士に鳳凰』『赤富士に昇り龍』『黄金富士に金の川』などがあります。
濱田観は、花鳥画を中心に活躍した兵庫・姫路生まれの日本画家です。繊細な筆致と淡い色彩で自然の美しさを表現しました。
大阪で洋画を学びつつ商業デザインにも携わる中、1929年に竹内栖鳳に師事。1933年、京都市立絵画専門学校で研鑽を積み、帝展への入選を果たしました。
晩年も精力的に制作を続け、代表的な花鳥画や鯉をモチーフにした作品を次々と発表。柔らかで幽玄な筆致と淡い色彩が特徴です。
代表作には、日展で特選を受賞した「芥子」や「蓮池」、文部大臣賞を受けた「朝」、日本芸術院賞の「彩池」などがあります。これらの作品はいずれも、静謐で幽玄な自然の風景を描き、彼の画風の魅力をよく伝えています。
鈴木 強は、現代の琳派を代表する日本画家のひとりとして知られています。
『笑う動物シリーズ』で人気を博しました。
金銀箔が施された華やかな背景と、長谷川等伯や伊藤若冲などをオマージュしたモチーフが特徴的です。
『笑うカバ』では「神奈川沖浪裏」、『笑うニワトリ』では「群鶏図」がモチーフにされています。
このような作風を確立したのは、雪の降る日に訪れたサファリパークで出会ったゾウがきっかけだったといいます。
彼は、「可哀想だと思っていたが、ゾウが長い鼻で雪を口へ運んでいたのを見て、可哀想だと思うのは自分のおごりだったと気付いた。そこには、人と自然の対立した悲劇性をとっとと乗り越えて笑うゾウがいた。
それ以来、心の強さや幸福を表すような笑う動物を描いている。」と語りました。
やまと絵と現代的な感性を掛け合わせた彼の作品は、縁起物として飾られるなど多くの人に幸福を届けています。
小早川 清は、美人画を得意とし、大正から昭和にかけて活躍した画家です。
現代的な女性像を描き、艶やかで上品な雰囲気を繊細に表現しました。小児麻痺の後遺症のため、左手一本で絵を描いたことで知られています。
小早川は、1899年に博多に生まれました。19歳で上京し、近代日本画の巨匠として知られる「鏑木清方」に師事し、美人画を学びます。
鏑木の開いた画塾で腕を磨き、1924年に開催された第5回帝展にて「長崎のお菊さん」を出品し、初入選を果たしました。
1927年頃には木版画の制作を始め、「近代時世粧」というシリーズを出版して表現の幅を広げていきました。芸者歌手の市丸を描いた「旗亭涼宵」が第14回帝展で新特選を受賞するなど、多くの功績を残しました。
その後も熱心に活動を続けていた小早川ですが、1948年に東京の自宅で脳溢血により亡くなります。
彼は数多くの作品を手掛け、特に昭和初期の作品は高く評価されました。
代表作には『長崎のお菊さん』『春琴』『蘭館婦女の図』などがあります。
1944年に京都府で生まれ、1968年には東京藝術大学を卒業します。その後、髙山辰雄に師事し技術を高め、数々の作品で賞を受賞します。
また、国内で個展も開催し、九州産業大学大学院芸術研究科教授に就任や講演会を行うなど、多方面で活躍されている画家でもあります。
主に海辺や森林を題材とした風景画や花を中心とした作品を制作しており、それらは伝統的な日本画でありながらも、独自の描き方から生み出される穏やかで幻想的な雰囲気が彼の特徴的な作風と言えます。
白昼夢のように柔らかな表現は、見る者の心を穏やかにするだけではなく、作品と一体化するかのように引き込まれるほど蠱惑的です。