三尾呉石は、明治期から昭和期にかけて活躍した日本画家です。
1885年の東京・日本橋に生まれ、幼少の頃から熱心に絵を描いていたといいます。
15歳の時に日本美術協会に出品した作品が認められ、その縁から動物画の巨匠・大橋翠石に師事することとなります。翠石のもとで四条派を基礎から学び、大胆な描画力を身に着けていきました。師を翠石としたこともあり、特に虎画において一線を画す描画をみせ、「虎の呉石」と称されるようになりました。
インド、アラビア地方の虎を訪ねて写生旅行を行うなど、呉石の虎に対するこだわりは翠石にも引けを取らないものでした。写実性を何より重視し、細部まで綿密に描写された虎の姿は実体を持つかのような迫力と気高さを感じさせます。
呉石は優れた虎画で院展や文展などにおいて多く入選を重ねました。現在においても独自性の強い呉石の作品は視線を集め、多くの日本画ファンの間で愛されております。
中原 脩は日本の画家・イラストレーターで、主に女性をモチーフとした油彩を制作していますが「中川 脩」の名前で日本画も発表している人物でもあります。
1946年に神奈川県に生まれ、東京藝術大学日本画科を卒業し、東京藝術大学大学院美術研究科修了したのち画家として制作活動に励みます。油彩では女性を主に描き、裸婦展に入選したりその他の絵画展でも精力的に活動しました。日本画家としては伝統的な日本画を精力的に描き、同一人物と思えないほど作風が変わります。また、イラストレーターとして本の装画の制作なども行い、活動の幅を広げています。
中原が多く描いた優しく繊細なタッチの少しうつむき加減な女性は気品に満ちた雰囲気があり人気が高いです。また大きな帽子をかぶったモチーフの事が多いことも特徴の一つです。
洋画と日本画では少し洋画の方が人気が高いように感じますが、画家として名前も変えて二足の草鞋を履く独自のスタイルを築いています。
岡崎忠雄は、京都府出身の日本画家です。
1943年に生まれ、昭和後期から平成の初期にかけて活躍されました。
牡丹をはじめ、花をモチーフとした日本画で主に評価を得ており、現在も根強いファンのいる作家さんです。
1968年に京都市立美術大学を修了し、その後はヨーロッパへの旅行などで自身の感性を磨きました。ヨーロッパの旅を契機として、イタリア風景の描画など西洋絵画に取り組むようになります。やがて自身の花鳥の表現に西洋画の遠近感を取り入れ、新しい日本画を追求していきました。
1984年に院展に初入選し、以降も複数回入選するなど、多く受賞歴を持つ方でもあります。もっとも多く見かけるのはやはり花の作品ですが、イタリアの風景画やキリスト絵画の模写でも高い評価を受けているため、まさに二面的な人気を持つ作家さんです。優美で繊細な花と荘厳な美しさの風景は対比的でありながら、なおかつ包括するような作家性が感じられます。
中村大三郎は、京都府出身の日本画家です。
1898年に生まれ、美人画を中心に多くの作品を残されております。
1918年の第12回文展で初入選した後、翌年の第一回帝展で入選し、さらに第二回・第四回帝展では特選に選ばれるなど早くから才覚を現しました。
1922年には大阪高島屋で初の個展を開催します。またこの年、堂本印象や福田平八郎らとともに「九名会」に参加し、気鋭の作家としての地盤が固まっていきました。その後も積極的に個展などを開催しながら、多くの作品を制作・出品しました。
代表作として挙げられるのは、1926年の『ピアノ』です。こちらは大三郎の妻がモデルとなった作品であり、着物姿の女性が大きな洋風ピアノを弾く大胆な構図が目を引きます。この作品のように人物とモノ、洋と和を日本画のテイストで融和させた作風が大三郎の特徴であり、今なお持つ根強い人気に繋がっております。
榊原紫峰は、京都市出身の日本画家です。
1887年に生まれ、明治~昭和期にかけて活躍されました。
1904年に京都市立美術工芸学校の日本画科を卒業した後、京都市立絵画専門学校でも学び、日本画家としての基盤を築きました。
1918年、村上華岳や小野竹喬らと共に「国画創作協会(国画会)」を創立し、創作の自由をテーマとした日本画の革新を目指しました。初期は文展、院展に出品していましたが、国画会創設を期に国画創作協会展(国展)に出品するようになりました。
1937年の新文展からは参与となり、翌翌年には審査員を務めます。また京都市立絵画専門学校の教授や同市立美術大学の教授を務め、後進の育成にも注力しました。
荘厳ながら落ち着いた画風を特徴とし、花鳥画が多く描かれます。紫峰の庭には禽舎があり、鳥たちの様子を日々眺めていたと言われています。そのかかわりの中で生まれた情感が高い精神性の絵画に結びついており、作品からは柔らかながら芯の強さが感じられます。
中尾淳は徳島県出身の日本画家です。
1917年に生まれ、現在まで多くの優れた作品を残されています。
京都市絵画専門学校の出身であり、卒業後は女性画で有名な日本画家・寺島紫明に師事しました。この頃、絵画の派閥は多くありましたが、中尾はどこにも属さずに制作を続けました。そのため受賞歴が少なく、しかし現代でも多くファンがいる作家さんです。
中尾の作品は、日本女性を題材にした美人画を数多く制作していることが特徴です。
主に、舞妓を描いている作品が多く、鼓を打つ姿や二人が並ぶ構図などバリエーションを持って描かれます。日本女性らしい姿を描いた作風が特徴的で、鮮やかな色彩を使い、着物の細部までの描きこみは気品を醸し出します。
美人画でも比較的多く描かれる舞妓ですが、その中でも独特の舞妓の在り方が追求され、表現されています。
中尾の作品は、日本国内だけではなく海外の方からも人気があります。拝見する機会がございましたら、是非その上品な表現を感じ取ってみてください。