サクティ・ボーマンは、フランスを拠点に活動するインド出身の現代美術作家です。
ボーマンはインド・コルカタに生まれ、1956年に同地の美術学校を卒業後、フランスに渡りパリの国立高等美術学校(エコール・デ・ボザール)で修学しました。イタリア滞在中にルネサンス期のフレスコ画から強い影響を受けており、半世紀以上にわたりフランスに在住しつつ、母国インドとも強い結びつきを保ちながら国際的な活動を続けています。妻はフランス人画家のマイテ・デルテイユ(Maïté Delteil)であり、娘のマヤ・ボーマン(Maya Burman)、姪のジャヤスリ・ボーマン(Jayasri Burman)もそれぞれ美術作家として広く知られています。
彼の作品は、インドの伝統とヨーロッパの古典主義が融合し、現実とファンタジーの境界線を曖昧にするような夢想的な情景を描き出している点が特徴です。油彩とアクリルの反発作用を応用した独自の「マーブリング技法」により、フレスコ画や大理石を思わせる特有の重厚感と質感を生み出しています。主なモチーフには、ヒンドゥー教の神々や精霊、ヨーロッパの道化師(アルルカン)、象や鳥といった動物たち、そして彼自身の家族などが用いられ、現実世界と神話が交差する神秘的な世界観を構築しています。
サクティ・ボーマンは、東洋と西洋の文化を融合させ、独自の技法で『夢と神話の世界』を現出させる画家ともいえます。
永瀬義郎は、大正から昭和にかけて活躍した版画家・画家です。日本の創作版画運動の初期を支えた重要人物の一人として知られています。
原宏之氏は、1961年に福島県で生まれた日本画家です。
もともとは独学で油彩画を描いていましたが、のちに日本画へと転向します。そして特定の美術団体に属さない「無所属」の画家として独自の画風を築き上げました。
彼の作品の大きな魅力は、「清澄な空気感」と「叙情的な風景描写」にあります。油絵で培った感性や空気感の描写力を生かし、山岳や渓流、古寺といった日本の四季折々の風景を、繊細なタッチとさわやかな色彩で描き出しました。透明感のある画面構成が、観る者に深い安らぎと郷愁を印象付けます。
その確かな実力は高く評価されており、外務省による作品の買い上げ実績があるほか、現在は全国の百貨店での個展を中心に精力的に活動を続けています。
森内敬子は、具体美術協会の最後の会員として知られる現代美術家です。
森内は大阪府に生まれ、1962年に大阪樟蔭女子大学国文学科へ入学し、具体美術協会の設立者・吉原治良に師事しました。1965年に渡米した後はニューヨークを拠点に活動し、イサム・ノグチやアド・ラインハートらと交流を深め、前衛美術や抽象表現の影響を受けながら独自の芸術表現を築いていきました。1968年には具体美術協会に加入し、グループが解散する1972年まで在籍しました。
森内敬子の作品は、多彩な色彩を用いた抽象的な表現を特徴とし、独自の世界観を持つ作風として知られています。構図には幾何学的な構成を思わせる作品も見られ、作品によっては金や白金を取り入れることで、静謐さの中に華やかさや奥行きを感じさせる画面を生み出しています。近年の作品では、スパイラルや反復的なモチーフを用いた抽象表現も多く見られます。
森内敬子は、反復や構造性を取り入れた抽象表現を通じて、独自の作品世界を展開した作家と位置づけられます。
レイチェル・ニコルソン(Rachel Nicholson)は、イギリス出身の画家です。父は抽象絵画で知られるベン・ニコルソン、母は彫刻家のバーバラ・ヘップワースであり、戦後イギリス美術を代表する芸術家一家に生まれました。
筆を執ったのは40代になってからで、油彩・アクリルによる静物画や室内風景を中心に制作を始めました。器物やテーブル上のモチーフを単純化された形態と抑制された色面構成で描くのが特徴です。写実性よりも形と色の関係性を重視し、半抽象的な画面構成を通じて静謐な空間性を表現しています。
彼女の作品はイギリスのみならず世界各国で愛され、父のベン・ニコルソンとの展覧会が近年アメリカで開催されました。
松田正平は、昭和から平成にかけて活躍した日本の洋画家です。
松田正平は島根県に生まれ、幼少期を山口県で過ごした後、東京美術学校で藤島武二に師事しました。卒業後はフランス・パリにて留学し、戦後は国画会を中心に作品を発表、1950年代以降は東京でも個展を継続的に開催していました。1984年には日本芸術大賞を受賞しています。
主に油彩による簡潔な形態と明快な色彩による詩情豊かな表現で知られ、戦後美術の流れの中で独自の作風を確立しました。
彼の作品は、絵具を薄く塗り重ねた透明感のある表現と自在で簡潔な線描が特徴で、軽やかで空気感を重視した油彩表現で描かれています。山口県祝島周辺の瀬戸内海を描いた「周防灘(すおうなだ)」シリーズは彼の代表的作品とされており、数十年にわたり反復制作されています。他にも、人物像、犬、薔薇などの同一モチーフを繰り返し描き続けており、色彩や線描の微細な変化によって表現を深化させている点が魅力ともいえます。
松田正平は、日常的な主題を素材にしながら、極めて簡潔な造形言語で独自の詩的世界を構築した作家といえます。