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陶芸家加藤唐九郎（かとうとうくろう）

生没： 1898-1985

加藤唐九郎は、「永仁の壺」事件で贋作を作陶してしまった人物として良くも悪くも有名になってしまった愛知県出身の陶芸家ならびに陶磁史研究家です。
「永仁の壺」事件とは永仁二年の瓶子が鎌倉時代の古瀬戸の傑作として認定を受けます。しかし、銘文の不自然さなどから異論が相次ぎ、認定を受けた翌年に加藤唐九郎の長男が瓶子の製作に携わったことを明かします。そして、加藤唐九郎も自らの贋作であったことを明かします。
また、指定に関与していた文部技官・文化財専門審議会委員であった小山冨士夫は引責辞任、加藤唐九郎は無形文化財（人間国宝）の資格を取り消されるという美術史学界、古美術界、文化財保護行政を巻き込むスキャンダルとなった事件です。
このような事件で有名になってしまった加藤唐九郎ですが、日本の伝統的な造形に学び、桃山時代の陶芸の研究と再現に努めた作品は現代では高い評価を受けております。
また、作品の号も年代によって変わっておりますので参考にご紹介いたします。1961年には漢学者で詩人の服部担風翁より「一無斎」の号を送られ以後、作品の銘に「一ム才」を使用する。1962年には「一ム才」を「一ム」と改めるまた、1980年には作品に記す号に「野陶」「ヤト」を使い、。1981年の作品に記す号に「陶玄」を使い、後に「玄」を使用しております。

加藤唐九郎略歴

1898年	愛知県に生まれる。
1911年	中根聞天塾南画、漢文を学ぶ。
1914年	父より窯の権利を譲り受け、製陶業を始め、名を唐九郎に改める。
1918年	瀬戸の古窯調査や研究を行う。
1927年	加藤姓に復籍する。
1929年	瀬戸の窯跡調査・収集品の整理陳列に官民一体の「瀬戸古窯調査保存会」結成し、常任理事となる。
1930年	志野茶碗「氷柱」を制作し、美術愛知社展に入選する。
1931年	「第12回帝展」に出品し、初入選する。
1932年	美濃大萱古窯の発掘調査を始める。
1938年	中国に渡り、中国古陶磁器の調査をする。
1942年	日本橋高島屋にて初個展「志野・織部新作展」開催し、そのことを機に松永安左衛門の知遇を得る。
1950年	「新日本茶道研究会」を川端康成たと結成する。社団法人日本陶磁協会を設立し、理事に就任する。
1952年	第1回無形文化財有資格者に認定される。
1954年	荒川豊蔵、石黒宗麿、加藤土師萌、金重陶陽らと「桃里会」を結成する。
1957年	日本工芸会の理事に就任する。
1960年	「永仁問題」が起き、これまで勤めてきた公的職務を辞任する。
1965年	毎日芸術賞を受賞する。
1985年	逝去。