今回ご紹介するお品物は川瀬表完 『八橋蒔絵 棗』です。
川瀬表完(かわせ ひょうかん)は、江戸時代後期から明治時代にかけて活躍した蒔絵師で、精巧な技法と優美なデザインで知られています。彼の作品は茶道具や書道具など多岐にわたり、特に蒔絵を施した棗は高く評価されています。
この棗には「八橋(やつはし)」の風景が蒔絵で描かれており、八橋とは伊勢物語の「東下り」に登場する景勝地を指します。特に、橋とカキツバタ(燕子花)が組み合わされたデザインは、尾形光琳の「八橋蒔絵螺鈿硯箱」などにも見られる伝統的な意匠です。
黒漆の地に金蒔絵で描かれた橋やカキツバタは、繊細ながらも華やかで、光の加減によって上品に輝くこの技法が、作品に一層の深みを与えています。
専用の箱が付いていたことも考慮し、こちらの評価とさせていただきました。