周徳『韋駄天図』

本作は、画僧である周徳が描いた『韋駄天図』です。

周徳は山水画や人物画を得意とし、雪舟の弟子として流派を受け継いだ画僧です。

「韋駄天」とは仏教における天部の神で、天部一の俊足を持つ軍神です。
伽藍(がらん)を守る神とされ、寺院の厨房などにその像が祀られています。
​胸の前で手を合わせ、宝棒や宝剣をのせた姿が特徴的です。

お釈迦様の遺骨を盗んだ鬼を追いかけ、一瞬で1280万キロを駆け抜けて取り戻したとされています。

全身を描いた作品が多い中、本作では上半身のみを大きく描いています。
たっぷりとたくわえた髭や力強い表情からは、重く威厳のある雰囲気、迫力を感じます。しかし、それと同時にどこか優しげな表情をしているようにも見え、周徳の表現の幅広さに驚かされます。　

本作は、これらのことや保存状態などを考慮して、上記の査定結果となっています。